|
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【重要なお知らせ】お問い合わせフォーム故障中につき、直接メール(koudoku@toshoshimbun.com)かお電話にてバックナンバー・定期購読の御注文をお願い致します。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
評者◆石本秀一(ジュンク堂書店ロフト名古屋店)
漫画編集者の肉声を聴く
漫画編集者
木村俊介
No.3212 ・ 2015年06月27日
■世間に名を知られた人物でもなく功を成した人でもない、「普通の人」「市井の人」に長い時間をかけて聞いたことを長いままでまとめる。そういうやり方でインタビュアー・木村俊介さんが世に出した『善き書店員』(ミシマ社)という本がある。書店員として現場で働く人たちが何をやってきたのか、どんなことを思いながら本を売ってきたのか、そういうことをできるだけ肉声のままに伝えようとするノンフィクションは、書店員としてとても興味深いものだった。知り合いの(と言っても会うのは飲み会の場合がほとんどだが)書店員が登場する章では、いつも穏やかに語る彼の口調そのままに伝えられる、そこからは想像していなかったけっこうハードな書店員人生に驚かされたりしたのも印象に残っている。
その『善き書店員』と同様の手法で漫画編集者を取材しまとめられたのが『漫画編集者』というインタビュー集である。登場するのは「月刊コミックリュウ」の猪飼幹太さん、「ヤングマガジン」「ヤングマガジンサード」の三浦敏弘さん、「週刊ビッグコミックスピリッツ」「月刊!スピリッツ」の山内菜緒子さん、「月刊Gファンタジー」の熊剛さん、「IKKI」の江上英樹さんという5人の編集者。それぞれが担当している漫画家による「私の担当編集者」というテーマの描き下ろし漫画も収録されている。 多くの場合、我々が目にするあるいは手に入れることができるのは最終成果物(漫画では雑誌に掲載されるか単行本になった作品)だけである。そこに至るまでのプロセス、誰がどんなことを思い何をやってきたのか、そういったことは見えてこない、よくわからないことがほとんどだ。だからこそ、こぎれいにまとめられた文章ではなく実際にそこに関わった者の肉声で、いい作品を生み出そうとするのはもちろんのこと、それを発表する場を守るためにいかに売っていくかを考える日々を、具体的な漫画家や作品の名前をまじえながら語られる話はどこをとっても興味深い。インターネットの普及などで断片的な情報があふれ、「どんな分野のものごとでも表面的には理解できたかのように思えてしまう」今の時代に、長い時間をかけて相手の内面に潜りこむようにして引き出された言葉たちはいろいろなことを教えてくれる。 ここまできて言うのも今さらなんだが、私のつたない文章で紹介するよりも、編集者たちの言葉を抜粋して並べた方が、この本の魅力が伝わるのではと思いながら書いてきた。ということで、(いくつかの作品を通じて、実は長いおつきあいをしてきたのだということをこの本を読んで知った)江上英樹さんの言葉から印象深い部分をひとつ引用して終わることにする。 でも、作家とは、この作品はおもしろいのか、本当のところではどう思っているのか、みたいな話にも当然なるから、結局は人生の話についてのやりとりにまでいっちゃうでしょう? そこにはすごいおもしろさがあるというか、ぼくの場合には、作家の頭を使って、自分の解けない大事な問題に答えてもらうというところも大きいんです。 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
取扱い書店| 企業概要| プライバシーポリシー| 利用規約 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||