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評者◆前田和男
若きLGBT人権活動家 辻尾かな子の巻22
No.3197 ・ 2015年03月07日
■同性愛者と異性愛者へのトモダチ大作戦
選対の当初からの主要メンバーである元ゲイ雑誌編集者の後藤純一は、日本におけるLGBTのGの総有権者数はせいぜい60万とした上で、そのゲイたちもひとくくりにはできない、先進的でコミュニティ的な活躍をしている「業界人」やリブ(人権)運動家から、誰にもオープンにできずにクローゼットに閉じこもっている人たちまで多種多様だ、と指摘した。 後藤によれば、このうち尾辻と親和性が高いのは、業界人、運動家、研究者などのインテリ系と、その周辺にいるパレードに参加する人々。しかしこれらの数はたかが知れている。せいぜいあわせても1万もない。働きかけ次第によっては尾辻に投票してくれるかもしれないのは、「(新宿)2丁目ピープル」。パレードのようなリブ活動には関心がないが、群れて楽しく遊ぶのは好きという人々。それ以外のネットで完結する層はかなりの数がいて増えつつあったが、彼らを振り向かせるのはかなり難しい。 となると、ターゲットとすべき「票田」は、ゲイ全体を60~70万人として、ざっくりみて4分の1~3分の1、つまり10万~20万票しかない。さらに、後藤によると、そのターゲット層のコアである「(新宿)2丁目ピープル」系たちのタブーは「政治と宗教」。そもそも投票に行かない人が多い。そんな彼らをどう惹きつけるか。 そこで後藤から提案されたのが「トモダチ作戦」であり、そのための広報活動だった。概要は以下のとおりである。 ゲイコミュニティ内での尾辻のイメージは、まだまだ「カタい人」「エラい人」。前述の業界人・活動家からパレードを歩くような(社会意識の高い)層まではそれでもOKだが、これから最も力を入れて広報していくべき(声が届きやすく、興味をもってもらいやすい)のは、ユルくて遊び好きな(新宿)2丁目ピープル系なので、砕けたフレンドリーな印象を与えるべきだ。議論とか批判ではなく、徹底して明るく、楽しいというムードをかもしだす。無難でソツのない「いかにも議員」な服は脱ぎ捨てて、大胆なイメージ転換を打ち出す。それを一層もり上げるために、オリジナル映像やCDをつくって発信するパフォーマンスも必要ではないか。そして、そうしたメッセージとイメージをまずは内輪に届けるために、当時(今も)彼らがもっとも利用しているインターネットを活用すべきである。 選対としては、このゲイの元編集者の提案に異議はなかった。これを全面的に採用することにした。 その上で、ノンケの選対メンバーからは、さらなる「トモダチ作戦」が提案された。そもそもLGBTは政治から疎外されているがゆえに投票率が低い。後藤がターゲットとすべきだとしたゲイ票10万~20万票も半減しかねない。それでは当選はおぼつかない。だったら、LGBTだけでなく、同様に生きづらさ、孤立感を抱えている異性愛者――具体的にはシングルの女性たちの希望の星となるようなメッセージを送るべきではないか(ちょうど酒井順子の『負け犬の遠吠え』がベストセラーになり、著者自身もふくめ「30代以上、未婚、未出産」を「負け犬」と定義する自虐的逆説がシングル女性たちに共感を得ていた)。 この提案は、尾辻本人と後藤をふくむLGBTの選対メンバーたちにも受け入れられた。こうして練り上げられたのは、以下のスローガンと政策だった。 「みんな、自分らしく! 誰もが自分らしく生きられる社会を、レズビアンの尾辻かな子が実現します。生活に密着した地方自治の現場で実績を積み重ねてきた尾辻かな子が、今、国政にチャレンジします。マイノリティだからこそできることがあります。」 「YES! We are OK!」 尾辻かな子が国会で取り組みたいこと (1)マイノリティが暮らしやすい=誰もが暮らしやすい もっと政治の場に女性の視点を! 子どもたちがどんなときにも「OK!」と言える世の中に。 性的少数者のための法制度を整備し、もっと生きやすい社会をつくります。HIV陽性者、障がい者、在日外国人、被差別部落出身者など、マイノリティのネットワークを築き、日本の人権政策をバージョンアップします。 (2)「ひとり」の生きづらさを解消します。 ひとり暮らし、事実婚の家族、家族を亡くした方など、どんなライフスタイルでもOK! な社会に。 いじめ、自死、孤独死について、専門家育成、相談機関の支援、社会教育の推進などを行います。 (3)もっと、身近に! エコ&ピース 地球温暖化による気候変動を少しでも食い止めるため、ごみ問題を抜本的に解決し、クリーンなエネルギーを推進します。 身近なことから憲法まで、すべての暴力をなくします。 (本文敬称略) (つづく) |
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