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評者◆秋竜山
本のない人生なんて、の巻
No.3194 ・ 2015年02月14日




■〈本がなくても死ぬことはありません。でも、本がなかったら、人生を楽しむことはできないでしょう。少なくとも私はそう思います。〉と、〈はじめに〉の冒頭で述べられている。本のない人生なんて淋しいものだ!! と、いっているようだ。たしかに、そーかもしれない。出口治明『本の「使い方」――1万冊を血肉にした方法』(KADOKAWA、本体八〇〇円)と、いう本。たぶん、いつも頭の中は本でいっぱいだろう。〈物心ついた頃(幼稚園の頃)から、私は本の虫です。〉と、いう。
 〈平均すると、おそらく週に3~4冊は読んでいると思います。もっともたくさん本を読んでいた頃は、毎週10冊以上読んでいました。(略)どうして私が本を読むのかといえば、「おもしろいから」としか、答えようがありません。〉(本書より)
 本好きとは、このようなものであるだろうと、驚かされる。本を読むために生まれてきたような人か。ヒマさえあれば本ばかり読んでいるのだろう。どうして、そんなに本ばかり読んでいるのですか? と、きいたところで、「おもしろいから」と、答えがかえってくるだろう。たしかに、そうとしか答えようがないだろうと思う。考えようによっては、「はぐらかされたようだ」とも思えてきてしまう。本ばかり読んで読みすぎると、バカになってしまうぞ!! なんて、会話をきいたこともあったが、そんなこともあるまい。
 〈人、本、旅には、それぞれ一長一短があって、どれがいい、どれが悪いと決めつけられるものではありません。大学の4年間を「本を読んで過ごす」のと、「世界を放浪して過ごす」のとでは、どちらが賢くなるのか、それはわかりません。その人次第です。「旅は大好きだけれど本は大嫌い」という人は、旅を続けたほうが、賢くなるはずです。〉(本書より)
 人生の5割は、本から学ぶと、自分自身を振り返ってみていえるだろうという。
 〈個人的には、本がゼロでは、もったいない気がします。〉(本書より)
 古典を読もうという項目では、
 〈「哲学書など難しそうだし、興味がわかない」という人は、どんなジャンルでもいいから、自分の好きな本を読めばいいと思います。〉(本書より)
 そして、
 〈マンガの中にも、古典の名作はたくさんあります。長谷川町子が描いた「(よりぬき)サザエさん」や、「いじわるばあさん」でも、人生の機徴がわかります。(略)「マンガばかり読んでいると、バカになる」と偏見を持つ人もいますが、私はそうは思いません。(略)たしかに、大学時代は、少し背伸びをしてさまざまな古典に触れておくべきです。でも、社会人になったら、自分の好きなものから親しんでいけばいい。〉(本書より)
 そこで、マンガということになる。たしかに、子供の頃、「マンガばかり読んでいると、バカになるぞ!!」と、よくいわれたものだった。だからといって、バカになった人がいるだろうか。著者はロンドンに赴任することになり、「いじわるばあさん」と「よりぬきサザエさん」を持っていったという。日本人の「笑い」を持っていって、外国でひとり笑いころげるのも哲学的であるとも思えてくる。







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