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評者◆秋竜山
現代人は面白い、の巻
No.3191 ・ 2015年01月24日




■面白がり主義者の私としては、常に面白がろうとしている。そういう主義だからそれに対して、なにごとにおいてもスーッと面白がることだと思っている。第一、人生面白がらなくてはつまらないではないか。と、いうのが私の主張でもある。森博嗣『「やりがいのある仕事」という幻想』(朝日新書、本体七六〇円)の中に面白がるにふさわしい部分を発見。〈ほとんどの情報は正しくない〉という項目。ほとんど、というのがミソ。正しい情報もあるということ。気をつかっている。正しい情報以外は正しくないということ。情報というものは万人をふりまわす。だから、面白い。
 〈それはともかくとして、情報というものは真に受けない方が身のためである。〉(本書より)
 そーかなァ!!そーいうものかなァ!!なんて思う人もいるだろう。
 〈なにしろ、情報を流しているのはほとんどがマスコミだし、またそれ以外の発信源のものも、結局は自分たちの立場を維持したいという力学に基づいて、情報を作るからだ。したがって、今現在のニュースに注目していても、現実というものは掴めない。それよりも、ずっと遠くの世界のどこかに目を向けてみよう。日本から遠く離れている国のものを調べてみよう。自分で発見するのである。おや、こんな面白いものがあるじゃないか。どうして日本にはないのか。そう考えると、日本の今の状態がかえって鮮明に見えてくるものだ。〉(本書より)
 テレビ無しではいられない、と思っていたら、けっこうテレビ無しでもいられることを発見。突然テレビが故障して画面がうつらなくなってしまった。これは大変だとあわてたが、数日間うつらないテレビをながめていたら、たしかに世の中のテレビ的動きがわからなくなってしまったが、不思議なことに、これはこれで結構やっていけることに気づいた。テレビというものは見なければ見なくてもよい!!ということだ。テレビが映らなくても現在である。テレビ情報など、どうでもいいと思いつつ、新聞のテレビ欄はきっちり見る。うで時計に似ている。突然うで時計が動かなくなってしまった。一大事とばかり思ったが、別に生活するのに不便を感じない。そして、その内にうで時計などなくても生活できるとも思えてきたりする。自分に時計がない時は、どこかで自分のうで時計以外の時計を盗み見していることになる。これから先も、この線でずっとやっていけるかもしれない、と思いつつ、いつの間にかうでには動くうで時計をしていたりする。
 〈「現代を見ろ」「周囲を把握しろ」「空気を読め」というまっしぐらの視線では見誤るばかりだし、当然ながら、隠れている本質は見えない。(略)与えられた情報を鵜呑みにせず、もう少し世の中の流れを高いところからぼんやりと眺めてもらいたい。まず、ずっと高いところから俯瞰すると、(略)〉
 世の中というものは、まず高いところから眺めてみると、よく見えてくる。それには、ぼんやりと眺めるということが大切のようだ。ぼんやり感というものはハッキリ感をうむものかしら。ハッキリ見えてくると「こーしちゃいられない!!」と、あわてだす。これぞ現代人か。だから現代人は面白い。







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