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評者◆添田馨
政治とは力だ、力とは金だ――薄汚れた国(6)
No.3187 ・ 2014年12月20日




■政治とは力だ、力とは金だ――とは、かつての金権政治を揶揄して言うときによく使った耳慣れたフレーズだった。無論、政治の金権体質はいまでも根強く残っているのだが、言いたいのは実はそのことではない。いまやわが国の政治の駆動原理が、それとはまったく違う意味で、金権以外になくなってしまった現状を、私は述べたいのである。
 そもそも皆さんは疑問に思わないだろうか? 安倍政権はいったいどのような見返りを謀って、あれだけ破廉恥な政策目標を飽きもせず次々に打ち出してくるのか? 私はその最終の意図が、つまるところ国際間における「円」通貨への信用保持という一点にあるのだと思っている。
 こう言うと、何だそんなことかと思われるかもしれない。あるいは、政治がそんな経済的動機だけで動いているはずがない、という批判も出るかもしれない。だが、それは政治と一体化した国家通貨間の“パワーエコノミクス”をまったく考慮していない謬見である。
 安倍政権の本質は、実はここにある。国家が強くなければ「円」の信用力は担保されない。仮に日本が他国から攻撃され国がなくなってしまったら、そのとき「円」の信用力もゼロになる。無論、日本が攻撃対象とされる事態があってはならず、そうならないためには日米安保体制と自主防衛力の強化が必要だ。つまり「円」通貨への国際的な信用を、国内産業の育成や成長戦略によってではなく、原子力産業をも含めた広義の“武力”によって繋ぎ留めようというのが、公言するのも憚られる彼らの本音なのである。従って集団的自衛権の行使容認も、円価格の維持という国民不在の“グラウンド・ゼロ”から発している恐ろしい事実を私たちは知るべきなのだ。
 「アベノミクス解散」とやらを受け12月2日に公示された衆議院選挙だが、自民党は臆面もなく「景気回復」のスローガンを前面に打ち出した。だが彼等に信任を与えるということは、上に述べた彼等の隠れた意図を結果的に容認することになるのである。(続く)
政治とは力だ、力とは金だ







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