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評者◆秋竜山
腹がたつウザい人、の巻
No.3181 ・ 2014年11月08日




■五百田達成『ウザい話し方』(PHP文庫、本体五九〇円)を、読みながら別のことを考えていた。ウザい話し方をやり取りして商売にしているのが、マンザイである(ウザイとマンザイとは、これいかに)。実に、かしこい商売である。商売になるのはウザい話には笑いがあるからだ。つまり、お金になるからである。ヒトは、お金を払ってまで、マンザイのウザい話を聞こうとする。大いに笑わせてくれるマンザイは人気が出る。笑わせてくれなければ喜ばない。笑いは金である、とつくづく思えてくる。〈四十年間で蓄積した「話し方」のコツを余すところなくすべて詰め込んだ一冊です。〉と、著者が本書で述べている。
 〈「ウザい」は、使い方によってはとても危険なワードです。このひと言で簡単に人を拒絶できるし、孤独に追い込むこともできる。それでもあえて、この言葉をタイトルに採用した背景には、逆にだからこそ人付き合いの大切さを強く象徴する言葉だと思ったからです。本書は、他人のあげ足をとり、冷たく笑いのめすことを目的としたものではありません(略)〉(本書より)
 本書でいうように、ウザい人は、会話していて、たしかに「疲れる人」であり、「面倒くさい人」である。そういう自分も、ウザい人であることは忘れてはならない。ウザい人本人がわかっているのかいないのか知らないけど。まず、わかってないだろうなァ!! と、思ったほうがいいかもしれない。本書であげられているウザい会話の中から、
 〈会話で人の話題をとって自分の話にもっていってしまう人のことを、僕は「話題泥棒」と呼んでいます。〉(本書より)
 特に、病気の会話に多い。こっちが「病院へ行ってきた」と、口に出すやいなや「僕も行ってきた」と、いって自分の病気の話を延々とやる。こういう人には、うっかり病気の話などしないほうがよいだろう。こっちの病気のことなどそっちのけで自分の病気のことばかり。こっちとしては、そっちの病気の話など聞きたくもない。
 〈相手の話をやたらと要約したがる。要所要所で相手は「それって、こういうことでしょ?」「つまりまとめると、問題はこういうことだよね」と得意気に要約を挟んでくる。〉(本書より)
 これも話していて、腹が立ってくる。勝手にこっちの話をまとめるな!! と、どなりたい気持をおさえているからイライラしてくる。自分の話は自分でまとめるから、ほっといてほしい。
 〈「あなたのためを思って」と言って説教をする〉(本書より)
 俺のためを思っていたなら、説教などするな!! と、これもどなりたくなる。どなったらおしまいだと思うからイライラでおさめてしまう。〈「なるほど」を連発する〉と、いう人は、今日もどこかで誰かにむかって「なるほど」を連発しているだろう。〈「忙しい忙しい」が口ぐせの人もいる〉。なにがそんなに忙しいのかサッパリわからない。〈「○○してもらうことって可能ですか?」〉と、いう人。〈「私はビール飲めない人なんで」〉なんていう人もいる。「アッ、そーいう人なんですか?」と、いいたくなる。なにかにつけて、「私ってそういう人なんです」と、いう。「実は私も、そーいう人なんです」と、いえばよい。自分もいえば腹もたつまい。







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