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評者◆伊達政保
ゴジラ映画オタクが作り上げた面白いエンターテインメント映画 2度目のハリウッド版「ゴジラ」(ギャレス・エドワーズ監督、主演・渡辺謙)
No.3174 ・ 2014年09月13日
■映画「ゴジラ」誕生から60年。2度目のハリウッド版「ゴジラ」監督ギャレス・エドワーズ、主演渡辺謙が公開された。一回目のハリウッド版「ゴジラ」は、「ジュラシック・パーク」や「エイリアン」の影響が強すぎたので期待外れだったが、今回の作品は一言でいえば、海外の怪獣映画、ゴジラ映画オタクが作り上げた、面白いエンターテイメント映画となっている。これまでのゴジラ映画に対する細かいところまでのオマージュにあふれていて、ゴジラばかりではなく「大怪獣ガメラ」の影響も感じられる。ゴジラの顔つきはどことなくガメラに似ているし、敵役の怪獣ムートーはまるでギャオスだ。ギャレス監督は単体ゴジラよりも「ゴジラ対○○○」といった作品を気に入っているようで、やはり怪獣同士の戦いを中心に描いている。こんなことを一つ一つ挙げていったら切りがない。オイラもまるでオタクだね。
1作目の「ゴジラ」は、1954年ビキニ環礁の水爆実験で呼び覚まされた古代恐竜という設定であり、当時の第五福竜丸被曝などを題材にしている。ゴジラの襲撃で東京が炎上するシーンは、まるで東京大空襲を思わせるものだった。オイラ四つの時、この映画を両親と共に観ているが、大人達の方が画面を食い入るように見ていたことを覚えている。NHKBSプレミアムのゴジラ特集でリマスター版が放映されたが、子供達がガイガー・カウンターで放射線被曝を測定されるシーンを、57年後、現実に見ることになろうとは。特集のラインナップは、28作品の中から、第1作を始め、原水爆実験場の島、原発を襲うゴジラ、使用済核燃料集積所から現れるラドンやゴジラ、自らメルトダウンして放射能を撒き散らし死亡するゴジラなど、意味を含んだ作品が並んでいた。NHK最後の良心か。 今回のゴジラ映画は、東日本大震災、福島第一原発事故後、初めての作品である。当然そこには震災・津波・原発事故が形を変えて描かれており、加えて広島・長崎の原爆が影を落としている。日本の原発事故から始まるストーリーの詳細は省くが、なぜかこの映画の日本版予告編には、原発事故も津波も出てこない。全世界で大ヒットしているのに宣伝もあまりされてないようだ。もはや原発事故はメディアにとってタブーとなっていた。新宿の映画館でオイラの観た初日初回は4分の1の入り。となりのアニメは超満員。何か変だ。早めに上映打ち切りにならなければよいのだが。映画で印象的なのは日本の原発事故による避難区域、立ち入り禁止地区が都市部も含んでいたということだ。雑草や樹木の生い茂る無人のビル街。現実がそうなっていたかもしれないのだ。 |
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