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評者◆秋竜山
わからないアジェンダ、の巻
No.3162 ・ 2014年06月14日




■事実は笑説より奇なり。長年、仕事の関係などでつきあっていて、今さら聞けないことがある。相手の名前だ。今まで通り知らないままで通すのが心づくしかもしれない。造事務所編著『すっきりわかる!超訳「カタカナ語」事典』(PHP文庫、本体六二九円)。
 〈要するにどういうこと? そういう意味だったのか!〉(オビ)
 〈アジェンダ〉と、いうカタカナ言葉を知らないヒトはいないだろう。あまりにも有名中の有名である。が、それが、何の意味であるか、誰も知らないのも有名である。「アジェンダでなくて、ラベンダではないのかい」と、はじめの頃はいったものだ。誰も意味を知らないが、言葉の中から、「たぶん、こーなんだろう」という、ニュアンスで感じとっていたのだ。そして、本当の意味を誰も知ろうとしなかった。その意味を聞くわけにもいかなかった。ちょっと長い時間、知らないままでいたから、自分の教養のなさを自分でバクロすることになるからだ。チンモクはキンである。
 〈若手の政治家が「わが党のアジェンダは…」と、口にするようになったことで、政治用語としても知られるようになったアジェンダ。その語源は「なされるべきこと」を意味するラテン語です。転じて、英語では「予定表」の意味になりました。〉(本書より)
 どうして、まず最初に、このカタカナ言葉の意味を説明しなかったのだろうか。いや、したのかもしれない。でも伝わらなかった。みんな、わけがわからない言葉にわかったような顔をさせていたということである。
 〈今やおなじみのマニフェストが、政治の世界で「公約を知らせる宣言」として使われるのに対し、アジェンダは政府や官公庁が定めた政策の「行動計画」や、政党が提唱する「重要な政策」の意味で用いられています。〉(本書より)
 どうして、昔からある立派な日本語である、「公約」という言葉を使わないのか理解に苦しむのである。本書では、そういった奇妙キテレツなカタカナ語が二〇〇語以上も、わかりやすく解説されている。〈オノマトペ〉というカタカナ語を知っているヒトがどれだけいるだろうか。いくら考えても何のことかサッパリわからない。「オナペットのことではないのか」と、いいだすしまつである。
 〈[超訳]音や状態を表わすカタカナ語〉〈[用例]彼の独特な笑い方を、オノマトペで表現してみよう。そうすると「グフフグフフ」だな。)(本書より)
 〈漫画を読んでいると、必ず「ドゴオオオオオ」「ヒュルルルルル」など、カタカナ音が目につくでしょう。それがオノマトペです。フランス語のonomatopeを日本語発音したもので、一般的に「擬声語」と訳されます。〉〈シニカル〉とは、〈他人をバカにした、冷笑的、嘲笑的な態度や発言です。〉(本書より)
 その昔、子供の頃、〈ヒネルトジャー〉という英語があった。水道の蛇口をひねるとジャーと水が出ることから蛇口のことを〈ヒネルトジャー〉といった。誰もが、それが本当の英語であるとは思わなかった。そして、その〈ヒネルトジャー〉が笑いとなった。笑える時代でもあった。







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