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評者◆ベイベー関根(セックスシンボル)
〈ヨウスケの奇妙な世界〉へようこそ!
ヘビ女はじめました
高橋葉介
怪談少年
高橋葉介
No.3156 ・ 2014年04月26日




■突然だが、高橋葉介はよい! 『ライヤー教授の午後』! 『宵闇通りのブン』! もうタイトルを書いただけで気絶しそうだ!(古すぎてすいません)
 あの流麗な線! あの何も信じてなさそうな物語!(むしろ物語しか信用していない、というべきか)あの愛らしいキャラクターたち! あの実験精神! あの人を危険へと誘い込むセクシーさ! あの扱いに困るユーモア! あの人間などどうでもよいと思っているに違いない〈血の薄さ〉! すべてが最高だ!(でも、『文藝別冊』の特集は「怪奇幻想マンガの第一人者」というサブタイトルにゲンナリして買ってない)いろいろな作風に挑戦したり、絵柄のマイナーチェンジも試みつつ、うまくいったりいかなかったりする(なすびみたいな顔のキャラには今ひとつなじめなかったなー)微妙な位置をいつまでも保っていてくれ!
 ……と思っていたんだけど、なんかここに来て、高橋葉介、妙に本たくさん出してね? 家でも買ったのかな? と思って、この機会に『ヘビ女はじめました』と『怪談少年』を取り上げてみようと思ったわけだ!
 『ヘビ女はじめました』は、怪談専門誌『遊』、もとい『幽』に連載していた短編をまとめたものだが、なんせ年に2回しか出ない雑誌だから、1冊分になるまで10年かかっているという気の長いプロジェクト。
 まあ、しかし……何だな、読み返してみるに、この本に関しては、もう内容の説明うんぬんより、実際に読み惚れてもらうしかないような気もするな……。
 あの流麗な……というのは繰り返さないにしても、このほとんど意味のない、どれもこれも同じようでいて、しかしゾワゾワと恐ろしく、人の心を惹きつける掌篇群、これはいったい何だろうか……。
 要は、人というのは、人の限界、というか、人が人でなくなってしまうところをいつも見たいのだし、物語というのは実のところその核にその「限界」をいつも孕んでいて、高橋葉介はほとんどその権化のような人なのだ、ということにでもなるのかね。やっぱり何の説明にもなっとらん!
 『怪談少年』は、『まんがグリム童話』に連載されている連作で、祈祷師だか陰陽師だか悪魔祓い師だかを仕事にしている六道影絵と、ノーマルきわまりない辻成の姉弟にふりかかるさまざまな不思議な事件を描いたもの。各回のタイトルが「耳なし芳一」「猿の手」「夢十夜」「黒猫」「変身」等々、過去に語り継がれてきた怪談や怪奇小説を高橋葉介流に換骨奪胎するという趣向になっているんだけど、ここでもやっぱり物語というものの足腰の強さに驚かされるなー。そうとうヤバい話をコメディタッチにしても、なにか全然揺らいでないもんな。もっともそれはいつもの話だけど!
 ちなみに、『怪談少年』は、ぶんか社から3ヵ月連続で刊行された高橋葉介の単行本の掉尾を飾る一冊で、前の2冊、『手つなぎ鬼』『マンイーター』も、オススメしておくだす!







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