書評/新聞記事 検索  図書新聞は、毎週土曜日書店発売、定期購読も承ります

【重要なお知らせ】お問い合わせフォーム故障中につき、直接メール(koudoku@toshoshimbun.com)かお電話にてバックナンバー・定期購読の御注文をお願い致します。

評者◆ベイベー関根
きみは『BAT‐MANGA!』を知っているか?
バットマン 1~3
桑田次郎
No.3148 ・ 2014年03月01日




■ついに出たなあ、桑田次郎版の『バットマン』が!
 これは貴重というか珍品というか、しばらく前にマンガショップから桑田次郎の過去作がどさどさ出ていたときも漏れてた作品だ。もちろん元の『バットマン』はアメコミだから、まともに交渉しちゃ版権料がバカ高いと思ってやめといたんだろうな。
 で、この日本版『バットマン』に最初に光を当てたのは、実は日本人じゃなくて、アメリカのグラフィック・デザイナーにしてコミック・コレクター、チップ・キッド。キッドについては、自分のデザイナー人生を振り返る講演とかがYouTubeに上がっているので、各自検索されたし。
 当然『バットマン』も大好きなキッドさん、どういう経緯でか、日本で出ていた『バットマン』を見つけたらしい。うおっ、見たことねえ『バットマン』だ!しかも、アメリカの『バットマン』とは全然違う魅力がある! これはアメリカのバットマンファンにも紹介せねば! ということで制作されたのが、この『BAT‐MANGA!』。BATMANのMANGA(日本のマンガのこと)、でこのタイトル。ど~だろね、このセンス。
 キッドさん、桑田次郎のところまでご挨拶に行って作品をお借りしたり、たぶん版権クリアのためにも奔走されたんじゃないかな、2008年にはそれでもなんとか刊行にこぎつけた。
 中身は今回の日本版とはかなり違っていて、作品の分量は少ないんだけど、その分グッズの紹介などにもページを割いてある。これはこれで興味深いけどな。
 そこから5年経って、これがアメリカで出せるんなら日本で完全版出そうぜ、ということになったのか、『少年キング』『少年画報』に掲載された作品を集めて刊行されたのが、この逆輸入版(?)『BAT‐MANGA!』だ! 箱にもそう書いてあるでしょ?
 日本版は、よけいなものはほぼすべて省き、桑田版『バットマン』がたっぷり堪能できる作り。値は張るけど、これはファン必携だわなあ。話の方は、ロボットと闘ったり、身体がドロドロ溶けたり、宇宙人がやってきたりして、なんだ、いつもの桑田さんやんけと思いきや、全部アメコミ版のエピソードを下敷きにしている、と菅原瑞生の解説にあって、ちょっと驚き。
 正直いうと、アメリカ版『BAT‐MANGA!』のことは、この解説の註でしかふれられてないので、そりゃマズいだろとこの原稿を書いてみたわけだ!
 ちなみに、2年前の正月に、NYのマンガ博物館(現在は閉館)で『BAT‐MANGA!』展をやってたんで、見てきたぜ! 原画が壁一面に展示してあって、いやあ懐かしいなあと眺めていたら、学芸員の人に「おお、お前は日本人か、じゃあちょっとこれを見てくれないか、こことここで話が飛んでないか?」と話しかけられた。う、確かに飛んでる……。この時代だから、原画の重要性も認識されてなくて、要はちゃんと残ってなかったんだろうなあ。とかいってお茶を濁してきたさ!







リンクサイト
サイト限定連載

図書新聞出版
  最新刊
『新宿センチメンタル・ジャーニー』
『山・自然探究――紀行・エッセイ・評論集』
『【新版】クリストとジャンヌ=クロード ライフ=ワークス=プロジェクト』
書店別 週間ベストセラーズ
■東京■東京堂書店様調べ
1位 マチズモを削り取れ
(武田砂鉄)
2位 喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
(山下賢二)
3位 古くて素敵なクラシック・レコードたち
(村上春樹)
■新潟■萬松堂様調べ
1位 老いる意味
(森村誠一)
2位 老いの福袋
(樋口恵子)
3位 もうだまされない
新型コロナの大誤解
(西村秀一)

取扱い書店企業概要プライバシーポリシー利用規約