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評者◆ベイベー関根
『かくかくしかじか』って「描く描く」とかけてたのか!(←白々しい)じゃ「しかじか」は!?
かくかくしかじか 2
東村アキコ
No.3135 ・ 2013年11月23日




■ここんとこさー、知り合いが面白いっていうマンガが、今ひとつピンと来ないことが続いててさー。あれとかあれとかあれとか。
 え、なによ、はっきりいえって? おう、いってやんよ、九井諒子とか松田奈緒子とか渋谷直角とかだよ。あ、田中相は短篇集は微妙だったけど、『千年万年りんごの子』はちょっとよかったっす……。
 ていうか、このへんのうまげな女性作家が、なんかこう、似た印象を受けちゃって、なーんか引っかかるんだよな。そんなんだったら花輪和一『風童』とか古谷実『サルチネス』とか小日向『富士見荘日記』とかの方が全然いいんだっての。でも、みんなもうウチでは取り上げてるからな……。ま、そのへんの女性作家についてはまた今度!
 で、今回は今さら感もあるものの、東村アキコ『かくかくしかじか』2巻を取り上げたいね!
 実は、この人も、これ以前のものは全然いいと思わなかったんだよな。だけど、これはイイ! なぜかっちゅうと、理由は簡単で、より自分がダイレクトに出てるからだろうなー。
 絵がうまいもんで「私は少女漫画家になる!」と確信&妄想していた高校三年生、林明子。美大なんかチョロいぜと宮崎の片田舎の高校の美術部でタカをくくっていたが、友達が行くのに便乗するようなかたちで、絵画教室を見学することになる。
 だが、その教室を主宰する日高は超キレやすい男で、自分は絵がうまいと信じていた明子のプライドはしょっぱなから打ち砕かれ、明子も週5日その教室に通うようになってしまったのだった。明子の地獄の特訓の日々が始まる。
 しかし、この日高先生、絵はうまいのだが、美大には行っていないという。しかし、生徒を美大に行かせたい気持ちはむちゃむちゃ強いのだ。なぜ?
 という疑問を置き去りにして、話は明子の受験に突入する(なんつっても高三からの話だから、よけいな時間はない)。なんだかわけのわからん方法も使いつつ、なんとか某美大へ入学! よかったね!
 と思いきや、入学早々、それまでの猛特訓の反動が来て、モチベーションがダダ下がり、絵が描けなくなってしまった明子。恩師にも不義理をしてしまい、さあどうする!?って全然心配してませんけど!
 まあ、ホントいうと、スパルタ教室でのあれこれをもうちょい枚数かけて描いてほしかった気はするな、先生キャラ立ってるし。たぶん座って絵を描いてるだけならあんまり面白くならないと思ったんだろうけど、いやいや、そこを面白く見せるのが芸でしょう! というか、その後に売れて「私の口座に大きなお金が振り込まれた時/私は悔しくて悔しくて/しばらくその場から動けなかった」と書くアキコさんにはその根性があるはずだ!
 そんなわけで、この先も絵を描くことと人生を進むこととの狭間で、がんばれ、アキコ、とりあえず! といいたくなるマンガだ!







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