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評者◆伊達政保
なぜ今、プロテスト・フォークなのか――「Hello!!  816(ハロー廃炉)」と「第1回プロテスト・フォーク・ジャンボリー」
No.3128 ・ 2013年09月28日




◆8月16日、翌日仙台での中学同窓会の途中、郡山に立ち寄った。東日本大震災後、福島の再生のためミュージシャン大友良英(現在NHKの朝ドラ『あまちゃん』の音楽で大ブレイク)たちが行ってきたプロジェクトFUKUSHIMA!の一環で、昨年からパンク・ロッカーの遠藤ミチロウの呼び掛けで行われているイベント、「Hello!! 816(ハロー廃炉)」を聴くためだ。福島出身のミチロウが脱原発、廃炉を訴えるため地元郡山で企画し、多くのミュージシャンが参加している。郡山市は福島市より放射線量が高いため、野外イベントではなく、市内三か所のライブハウスで同時進行されていた。暑さの中で移動もきつく、一か所だけで聴くことにした。
 地元のR&Bバンド「アポロチョコシアター」、まるでJBsだ。元あふらりんぽのPIKAとチェロの坂本弘道のユニット「ムーン♀ママ」、ボーカルと過激なチェロのコラボが面白い。復活していたパンク・バンド「アレルギー」、やはりパンクだ。渋さ知らズ不破大輔らのトリオ「ザ・スペース・バー」。そして全身音楽家・遠藤賢司、さすがエンケン、エネルギッシュなステージで、とても高齢者とは思えない。そして、ミチロウが震災後、再編復活させた「ザ・スターリン246」、震災時刻2時46分から採っている。80年代の「スターリン」を髣髴とさせる演奏とボーカルに、聴衆も最高にノってモッシュしていた。やはり最前列で聴くのは体力的に厳しかった。何とミチロウはオイラと同い年なのだ。他の会場では大友良英やリクオたちがライブを行っていた。
 18日、仙台から帰って、新宿ネイキッド・ロフトで行われた「第1回プロテスト・フォーク・ジャンボリー」を聴きに行った。かつてのパンク・ロッカーで、反原発、ボランティア活動でも知られ、現在もバンド「ラウド・マシーン」を結成して活動している西村茂樹が呼び掛けたものだ。
 なぜ今、プロテスト・フォークなのか。参加ミュージシャンも80年代東京ロッカーズの流れを汲む人々、フリクションの恒松正敏、リザードのワカや、ソウル・フラワーの河村博司、この間集会やデモで八面六臂の活動をしている大熊ワタルらのジンタラムータとリクル・マイなど多彩なメンバーだ。そういやオイラもプロテスト・ロックなんて言葉は聞いたことないし、抗議のための音楽として思い浮かぶ言葉は、プロテスト・フォークだ。現在、原発再稼働や民族人種差別に対する抗議の運動があり、音楽が現場で求められてきている。やはりこうしたイベントが必要なのだ。
 この二つのイベント、音楽からのベクトルは異なるが、その目的は一つだ。







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