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評者◆秋竜山
連載第1210回 見た目が馬鹿になる?、の巻
No.3125 ・ 2013年09月07日




▼ヒトは、見た目じゃないよ!! なんて、これは弱気の発言である。自分に自信がなくなった時、出る言葉である。そして、いよいよ、決定的になった時、うらはらの言葉となる。「結局は……。そーなんだ。ヒトは見た目できまるんだ」。そして、〈見た目〉のせいにする。そして、こんな見た目の悪い風にうんだ親のせいだ!! とまで、その責任を親に丸投げしてしまうのである。「俺が悪いんじゃァない!!」とまで。……なんて、全然関係ない本がコレだ。竹内一郎『やっぱり見た目が9割』(新潮新書、本体七〇〇円)である。まず、ギョッとするコピーとして、表紙のオビだ。〈人は相手を0・5秒で判断している。〉この一言はすごい。これだけで、この本を買って読みたくなってしまうだろう。いつだったかの本で、働きアリのすべてが働いているのではなく、働いているアリは〈?パーセント〉で、残りのアリはあっちへいったりこっちへいったりして働いてなんかいない。と、いうようなことが書かれてあったのが目に入った。これを見てしまったからには、この本を読まずにはいられなくなってしまうだろう(どーしてくれるんだ)。本書においても、0・5秒で判断している、つまり相手を〈チラリ〉と見ただけで、相手がどのようなヒトか判断できるというのである。これを見たからにはこの本を読まずにはいられなくなってしまうだろう。
 〈朝日新聞の二〇〇六年四月十五日付朝刊に、「見た目」に関する調査結果が載っている。三千三十七人を対象とした大規模な調査である。「第一印象を重視しますか?」という問いに、「八二%」が「はい」と答えている。なぜそんな高率なのだろうか。それは「第一印象は比較的正確だ」という実感があるから、そう答えているのだ。(略)心理学で「初頭効果」と呼ばれる現象が関係している。第一印象は強烈で、二回目、三回目に会ったときには別の印象を受けとっても、人は最初の印象を変えにくい傾向がある。〉(本書より)
 一枚のマンガを仕上げる。どーも満足がいかない。描きなおす。それからというものは、何枚描きなおしても納得がいかない。もーやめた!! と思った時、グーゼンにも一等最初に描いた満足いかない発端のマンガが目に入る。「なんだ!! オイ。こんな素晴らしいマンガを描いているではないか」と、いうことになる。昔、高名なマンガ家が、気にくわないといって数十枚描きなおしたという。そーいう話は、後に継ぐものには、ものすごく自信となるものだ。何の世界でもいえることかもしれない。本書に、こんなことが載っていた。昔、昭和三十年代から四十年代にかけて、少年漫画が月刊誌時代から週刊誌時代に入った頃のことである。この頃、「ちゃんとした活字の本を読みなさい。漫画ばかり読んでいると馬鹿になります」と子供が親にさかんに小言をいわれたものだった。漫画ばかり読んでいると馬鹿になるということだ。そんな馬鹿なことをよくいったものだ。馬鹿になるとはどーいうことなんだろう。漫画ばかり読んでいると利口になるというんだったら話はわかる。漫画ばかり読んで利口になったヒトを何人か知っている。馬鹿になったヒトにお目にかかったことがない。つまり、見た目が馬鹿になるというのか。これとてよくわからんことだ。







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