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評者◆秋竜山
そんな時代に誰がした、の巻
No.3124 ・ 2013年08月31日




 戦前派とか戦後派とか。戦中派なんてのもある。昭和派や平成派。昭和七年に若い漫画家が集まって漫画派集団なるものを結成した。漫画派としたのがめずらしくて話題になったという。その当時は派という呼び名がめずらしかったという。そういう時代もあったのである。今や、戦前派は大年寄りに、戦中派は中年寄り、そして戦後派は若年寄りとなってしまった。「エッ!! 日本はアメリカと戦争したんですか?」なんて、若者がいる時代になってしまった。ベンキョー不足とはいえない。あの戦争を忘れてはならない!! なんていっていた人が、いつの間にか「エッ!! アメリカと戦争したのか?」なんて、いうことになってしまいかねない。ボケをヒナンすることはできない。時代の流れほど淋しいものはない。どーにもならない淋しさだ。戦前うまれは「アア……戦前の頃はよかったなァ……」と、いう。とにかく昔はよかったのだ。脳がそのようにできているのかもしれない。武田知弘『教科書には載っていない! 戦前の日本』(彩図社、本体一二〇〇円)は、〈古くて新しい、不思議な戦前の日本の暮らし〉〈34の仰天エピソード〉そして〈教科書には載っていない!〉ということは、知らなかったことということだ。いかに教育が大切であるか。特に歴史教育が!! なんて、テレビでやっていたが、だったら、どんどん教えろよ!! と、いいたいのである。知らないことは知らないですむ時代があった。今は、知らないではすまない時代というのか。
 〈「戦前の日本」と聞いて、どのようなイメージを思い浮かべるだろうか? 世界を未曽有の戦乱に巻き込んだ、「軍国主義国家」の姿だろうか。それとも、治安維持法や検関制度などで国民の思想を統制した「暗黒の時代」だろうか。そのいずれも、間違いではない。日本は、太平洋戦争を引き起こした主役のひとりである。(略)だが、それはあくまで戦前の日本の一面でしかない。〉(本書より)
 思想的な解釈をせずに見た場合、戦前の日本ほど面白い時代はない。と本書はそんな日本をとらえている。そして〈ほんの少し前まではちょんまげを結っていたような国民〉である。戦前はさすがにちょんまげ姿はなかったが、それでも女性は江戸時代からやってきたような格好をしていたような人もいたようだ。とにかく時代劇映画に出てくるような、家などそのまま残っていたような。♪東山三十六ポウ草木モネムル、ウシミツドキ、トッジョオコルケンゲキノヒビキ~~。つい、このあいだまでチャンバラをやっていたのだから。
 〈戦前といっても、明治維新から開戦まで80年近くもある。この期間ひっくるめて扱うのはムリであるので、本書では昭和初期(元年~14年くらいまで)を主なターゲットとすることにした。〉(本書より)
 「戦前の日本」、たとえば〈国会議員にヤクザの親分がいた〉とか、〈合法的な売春地帯「遊郭」があった〉とか。〈なぜ、戦前の父親は強かったか?〉とか。ということはなぜ戦後の父親は弱くなってしまったのか。いや、父親が弱くなったのではない。母親が父親以上に強くなってしまったのだろう。父親は戦前のよき時代にかえって強くなるべきだ!! なんていおうものなら、女性にふくろ叩きにあってしまうだろう。そんな時代に誰がした。







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