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評者◆竹原あき子
出版文化の大行事にフランス国鉄も参加
No.3118 ・ 2013年07月13日




 3月20日から27日まで、フランス国鉄はパリまでの往復切符を50%割引した。「サロン・ド・リーブル」は22日から25日までだったから、遠方からの参加者に便宜をはかるためだった。つまり会期前後の2日もふくめて割引料金にして、初日にサロンに通うこともできれば、最終日に参加してもパリに宿泊できる企画だった。
 割引切符だけではない。さらに「サロン・ド・リーブル」会場では特別ブースをもうけて参加者にサービス。司会者がビデオで、フランス人だったらだれもが知っている往年の名画、ホラー映画、ミュージカルなどの一場面を観せて主演俳優の名前とその場面に映った地方名、街の名前、あるいは駅の名前を答える、というクイズを出し、正解者には商品を提供する。子どものためには塗り絵の絵本を提供しながら会場で読書会、などなど。若者は根が生えたように会場の床に座り込み、子どもを交じえたクイズ合戦の和やかさは、「サロン・ド・リーブル」を忘れさせるほどだった。
 書籍という文化の象徴を誰の目にも印象づける行事に、出版とは全く無縁の鉄道会社がこれほど積極的に参加するとは驚きだったが、この積極性は公共交通機関利用を叫びはじめたフランスのエコ戦略の一環でもある。高速列車(TGV)の格安企画ウイゴー(OUIGO)で、パリとマルセイユ間600キロをたった10ユーロ(約1200円)で提供しはじめたフランス国鉄にとって、「サロン・ド・リーブル」はまたとない宣伝の受け皿だった。
(和光大学名誉教授・工業デザイナー)







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