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評者◆竹原あき子
「大統領の食卓」の人気
No.3116 ・ 2013年06月29日




 企画展示コーナーで光り輝いたのは料理本コーナー。料理本の出版は2003年から販売数も、専門出版社の数も増加の傾向をたどってきた。サロン初めての企画だった料理本コーナーの展示面積は600平方メートル。その広大な全面積に本が並んでいるわけではなかった。中央に本格的な台所があり、テレビ中継もできるカメラがまわり、調理の詳細がダイレクトにスクリーンに放映されていた。名コックが自著の一品を調理しながら解説し、参加者が味見した後でその横にあるテーブルでサインをするサービスつき。
 教員に引率された30人くらいの子どもの一人が、本を片手に30分もかけて同級生の前で調理し、拍手をあびた。その野菜嫌いな子どものための料理本は、あっという間に積んであった本の山が消えるほど人気だった。
 1年前から評判だった『エリゼ宮の料理、大統領の食卓』も多くの観客を呼んだ。フランス大統領府・エリゼ宮殿料理長ベルナール・ヴォションが40年以上もかけて、ドゴール将軍にはじまりオランド大統領までの各国の賓客をもてなした、歴史を彩る50の料理を紹介する書籍だ。実演も面白かったが、ドゴールは軍隊的で厳密な伝統料理を好み、サルコジは甘い物好きだった、などの話が続き、右翼の政権と左翼の政権とではどちらの食欲が旺盛だったか、という質問が会場からあがり、その回答に会場はおおいに沸いた。フランス政権は左右にゆれる。そのゆれうごきがエリゼ宮の食卓にまで変化を迫るのは、大統領が振る舞う美味が政治を変えることもあるからだろう。
 だが、「サロン・ド・リーブル」会場で、訪れた文化情報大臣が個人経営の書店援助に9ミリオンユーロ(約10億円)を用意した、と発言したのは、この催しにとって何よりもの朗報だった。
(和光大学名誉教授・工業デザイナー)







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