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評者◆秋竜山
笑いにあふれる四字熟語、の巻
No.3111 ・ 2013年05月25日




 「ハテ? 四駒漫画って、四字熟語にあるのかしら」と、まさに笑止千万な考え。などと、とっさに思ったのは、この本を書店で手にした時だった。日本語研究会編『三字・四字熟語辞典』(同文書院、本体九五一円)で、ある。1998年11月26日初版ということだ。かなり古い本。でも店に並べられているってことは、かなり新しい本ということにもなる。売れる見こみのない本を並べたりするものか。そして、四駒漫画ってのを調べてみた。自分が漫画家である証拠だ。これが職業の恐ろしさというものか。ずっと前に愚妻と話したことがあった。「俺たちは、明けても暮れても漫画のことばかり話しているが、これが漫画家でない夫婦であったら一生一度も漫画なんて言葉が夫婦の会話の中にあらわれたりしないだろうな」。そんなものであり、それがフツーというものだ。やっぱり職業によって正しい夫婦のありかたも変わってくるようだ。で、四駒漫画というのは四字熟語にはなかった。そんなこと、はじめっから当たり前のことだ。そして、次に頭にうかんだのは、「笑い」に関する四字熟語であった。「笑止千万」だけか。ヨシ!! それなら、あて字として「笑」をいれたらどのような四字熟語に変化するか。これとて、笑止千万なお遊びである。「悪人正機」という四字熟語、〈仏教、とくに親鸞の教えで、悪人こそ、仏の真の救いが得られるという考え方。ここでの「悪人」は、罪を自覚する人のこと。〉という意味。これに「笑」というあて字を入れて、「悪人笑機」としたらどーだろうか。まったく別の意味になってしまうだろう。次々と調べてみると、かなり笑止千万だ。「意気消沈」を〈意気笑沈〉。「一殺多生」を〈一殺多笑〉。「一生懸命」を〈一笑懸命〉。「一倡三嘆」を〈一笑三嘆〉。「雲散霧消」を〈雲散霧笑〉。「臥薪嘗胆」を〈臥薪笑胆〉。「九死一生」を〈九死一笑〉。「正真正銘」を〈笑真笑銘〉。「小心翼翼」を〈笑心翼翼〉。「硝煙弾雨」を〈笑煙弾雨〉。「生者必滅」を〈笑者必滅〉。「生生流転」を〈笑生流転〉。「精進潔斎」を〈笑進潔斎〉。「小水之魚」を〈笑水之魚〉。「少壮気鋭」を〈笑壮気鋭〉。「掌中之珠」を〈笑中之珠〉。「松柏之操」を〈笑柏之操〉。「焦眉之急」を〈笑眉之急〉。「生老病死」を〈笑老病死〉。「森羅万象」を〈森羅万笑〉。「大器小用」を〈大器笑用〉。「大同小異」を〈大同笑異〉。「他生之縁」を〈他笑之縁〉。「胆大心小」を〈胆大心笑〉。「万死一生」を〈万死一笑〉。「半死半生」を〈半死半笑〉。
 調べていくと、「笑い」に関する四字熟語がわかった。「呵呵大笑」である。〈からからと大声で笑うことをいう。「呵呵」は大いに笑うこと、「大笑」は豪快に笑うこと。「かかだいしょう」とも読む。〉それから、「破顔一笑」と、いうのもあった。
 〈「破顔」はほほ笑むことをいう。顔をほころばせ、にっこり笑うこと。いままで気むずかしくしていたのが、事態が好転してにっこりするような場合に用いる。〉(本書より)
 よく、でたらめ歌ばかり歌っていると、本当の歌がわからなくなってしまう場合がある。それと同じで、四字熟語もあて字ばかりやっていると、本当の四字がわからなくなってしまうだろう。まさに、笑止千万である。







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