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評者◆秋竜山
時計に自由を与えるべきだ、の巻
No.3105 ・ 2013年04月06日




 アア……あの時、私はどーかしていた。運命のわかれ道。「右」か「左」か。「左」をとっておけば、今のようなこともなかったろうに。フラフラッと右に進路を選んでしまった。それが私の運命というものか。だとしたら、「右」や「左」などというわかれ道などないはずだ。はじめっから一本道しかなかったのだ。……などと、まったく関係ない本。北嶋廣敏『必ず誰かに話したくなる! 「右」と「左」の面白ネタ事典』(PHP文庫、本体五九〇円)。目からウロコというものは片方だけの目から落ちるということはない。両眼から同時に落ちる。本書がそれだ。知りたがり屋は話したがり屋でもあるという。〈知的雑学245のネタ事典〉とオビにある。「右」と「左」がある!! ということに気づいたことは、一つの驚きでもある。常に、きっかけは発見につながる。
 〈右回りのことを時計回りともいう。時計の針が右回りだからである。特殊な時計を除き、時計の針の回り方は右回りである。どうして左回りではないのだろう。左回りだと何か問題があるのだろうか。どうしても右回りでなくてはならないという理由はなさそうである。それに世界中で右回りの時計が使われている。右回りのほうが人間にとっては時刻が分かりやすいのだろうか。そのようにも思えない。本書の中で、右回りになった理由を推理している。〉(本書より)
 本書の中で推理しているといっているのだから、ここで答えをバラしてしまったら犯罪でもあるだろう。読んでビックリ、「エエーッ」と、絶句すべきだ。私はあらためて思うに、時計が「右回り」ばかりでは面白くない。もっと自由に針を動かすべきではないだろうか。ひとによっては「左回り」の針を持つ腕時計であってもいいのではないか。日替わりで「右回り」「左回り」であったりしてもいい。いずれにしろ、時計に自由をあたえるべきだ。〈「右」と「左」は筆順が違う〉の、なぜ。何がどう違うのだろうか、まったくわからない。昔、学校では、そんな馬鹿なことを教わらなかった。……なんて字が「右」と「左」である。
 〈あなたは「右」と「左」をどんな順序で書いているだろうか。どちらも同じように、「一」を最初に、次に「ノ」を書いている人がいるはずである。「右」と「左」では、「ナ」(横画と左はらい)の部分の筆順が違う。〉(本書より)
 これとて本書を読んで目からうろこを……。
 〈「右」と「左」についていうとき、それをみぎ・ひだりと訓で表現する場合には、「右左」あるいは「右」と「左」と「右」を先にいい、う・ゆうと音で表現する場合、「左右」と「左」を先にいう。すなわち和語と漢語では「右」と「左」の順序が逆になっている。それはなぜなのか。〉(本書より)
 これも答えは本書にて。
 〈たとえば医者が脈をとるときには男性ははじめに左腕を、女性は右腕をとった。〉(本書より)
 昔そうだったという。では、今は? これも答えは本書にて。思い出した、小学生の頃、先生が「右むけ左」と、号令をかけた。どうしてよいかとまどった。先生が「ジョーダン、ジョーダン」と、いって笑った。家の前でパトカーが眼を光らせている。「右折禁止」の場所である。







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