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評者◆高山宏
遊びをせんとや──読むこと、書くことが快楽だという感じが即、伝わるという書き手として永遠だ:追悼 山口昌男
No.3103 ・ 2013年03月23日




 ついに来るべき日が来、そしてぼくの長かった青春が終るべく終った。長い、余りにも長い闘病生活だったから唐突の感はなく、ずっと覚悟はできていたが、衝撃と寂寥感はやはり想像を遥かに越えた。翌日が東日本大震災から二年目という三月十日朝、府中の山口昌男先生の御宅から奥様の電話よ、というつれの声で一瞬全てを理解したぼくは、電話口で冷静だったが、「今朝の二時、身罷りました」という奥様の疲れた、静かな声が一日中脳裡に谺した。みまかる、という言葉がいかにもふさわしいと感じられた。大学が話題の四月移転で引越しに追いつめられて毎日忙しく私物運搬に明け暮れていなかったら、一体その日どう過ごせばよかったのだろう。
 学問好き団塊世代の父、というか神というべき存在だった。一九五〇年直前に生まれ、一九七〇年直前に大学に入ったこの世代の一人として、この巨大な神々に負う学恩の大きさたるや、言葉に尽くせぬものがある。神々と言ったのは一種奇跡的な沸騰状態と言うべき高揚と強度がみなぎった学の世界で、渾身の傾倒に値するメンター、導師が実に集中してぼく(ら)の眼前に顕現した。澁澤龍彦(一九二八年生)、由良君美(二九年生)、種村季弘(三三年生)。戦前を知り、戦中を知り、そして戦後を知るこの世代が、戦前・戦中の欠乏と不自...







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