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評者◆ベイベー関根
オトコノコ同士の友情ってイイネ!(もちろんオンナノコ同士のも)──真造圭伍著『ぼくらのフンカ祭』(本体七四三円・小学館ビッグコミックス)、同『台風の日』(本体六一九円・同)
No.3101 ・ 2013年03月09日




 さーて、今年もどんどん行こう! 去年の8月の時点で「次はコレ!」と決めてたのは、はいドン、真造圭伍! うかうかしてるうちにどっかで賞もとっちゃったみたいなんで、ここで取り上げなくても……なんてこといわずにやりますとも! エントリー作品はもちろん『ぼくらのフンカ祭』と短編集『台風の日』だ!
 処女単行本の『森山中教習所』を見逃してたのは痛かったけど、これもいいマンガなんだよなー。あんまり対人関係に興味のない清高くんが、昔のクラスメイトで今はヤクザの轟木くんと、山の中の中学校を改造した非公認教習所に通いながらフラフラするっていう話なんだけど(なのか?)、選べる人生と選べない人生の間の友情がじわじわ来て、いいんだよなー。はっ、今見るとジャケットの構図が『ぼくらのフンカ祭』に似ている気もする!?
 という流れで『フンカ祭』に行ってもいいんだが、やっぱその前に『台風の日』な。真造のデビュー作「なんきん」から全部で7本、なんかいろいろやってみましたー的な感じがよいですな! 実は、本屋で全然この人のことを知らなくて立ち読みしはじめたら、最初の「ビール獣」っていう作品でマゾの女の人が出てくるんで、「え、真造と書いてマゾと読む!? (本気と書いて)マジ(と読む)!?」と思ったんだけど違った。「しんぞう」が正しいので、以後よろしく。収録作品はすべていいが、作風・画風のターニング・ポイントになってる「兄、らしく。」が特に興味深いかなー。
 さて、というわけで、本稿執筆を半年寝かせた『ぼくらのフンカ祭』、こちらはクールでカタブツな高校生富山くんと、富山くんにちっと憧れてる桜島くんの青春+友情ストーリー。舞台は、火山の噴火で温泉街として再出発した金松町。突然の好景気にわく町に今イチ乗りきれない富山と、ノリノリの桜島は、あるとき富山の姉が住んでいる大学の寮を訪ねて、学園祭の会議にまぎれこむが、そこで富山が学祭を「フンカ祭」として町全体のお祭りにしては、という思いつきを口にしたのがきっかけで、町はさらなるお祭りモードへ展開。自分の思いと反対方向に町を進めてしまった富山は、ショックを受けて受験勉強に逃避、目立ちたがりの桜島は大学生の彼女ができてウハウハだが、実はかなりムリしてる感じ……。さあ、ふたりの友情が復旧する日ははたして来るのか?
 ちゅう感じで、『森山中』でもそうだったけど、ほんわかした感じの中に、甘くない人生が埋め込まれてるところが高ポイント。ヨノナカに手が届きそうで届かない焦燥感、逆に夢が単なる現実になってしまったときの幻滅、やったるぜ! というときの高揚感、等々も瑞々しく描かれてて、転校する友達用のプレゼントとして、まずは最適だ!
 ちなみに、最後のページの2コマ目を見て、うわ、この人知ってる! 誰だっけなーと思ってたら、こないだ十数年ぶりに再会したよ! 別に友達というほどでもなかったけど!
(セックスシンボル)







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