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評者◆塚原 史
「世界内戦」の時代――「考えたくないことは考えない」という「ニッポン・イデオロギー」を痛烈に批判する
8・15と3・11――戦後史の死角
笠井潔
No.3093 ・ 2013年01月12日




 Deni atomique――本書を一読して思い出したのは、旧聞に属するが、一年ほど前にフランスの異議申し立て派の雑誌ARTICLE11に掲載された「核の否認」という表題の記事である。東京で長年暮らしたクリスティーヌ・フェレ(パリ国立美術史研究所)が災厄の数ヶ月後に日本を再訪した印象を書きとめた文章だ。そこで彼女はフクシマの原発事故の深刻な実態が政府と電力会社によって隠蔽されただけでなく、民衆自身が破局など「なかったかのように」思いこもうとしていると書いていた。その記憶から、日本人が気づかない(ふりをしている)この種の「否認」こそは、笠井潔の言う「ニッポン・イデオロギー」としての「自己欺瞞」の表われなのではないか、そう直観したのだった。
 大震災と原発の大事故から二年近くが過ぎた現在、あのカタストロフが暴露した日本人の本質的な病理に背を向けて「3・11以後」と「復興」が虚しく叫ばれる時点で、著者はあえて「8・15以後」を再度注視することを提案する。というのも「3・11以後」とは、敗戦の年に始まる米軍占領を「従順と無抵抗のうちに」受けいれた「第一の戦後」と、一九五〇年代後半からのアメリカの「半属国状態」を前提とした「平和と繁栄」によって「戦死者を自己欺瞞的に隠蔽し忘却する過程」としての「第二の戦後...







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