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評者◆足立正生
突破せよ!──若松孝二はいつも「危機的」な事態、端境、追い詰められたところで、それを突破する方法と仕方を身につけ、撮っていた:追悼 若松孝二
No.3085 ・ 2012年11月10日




 若松孝二と私が出会った六〇年代当時の映画情況は、実験映画やアンダーグラウンドなことをやっていた私たちから見ると、松竹を辞めて独立プロを始めた大島渚、吉田喜重、篠田正浩などがいて、昔から頑張っていた新藤兼人や今井正などもいて、映画が「映画会社の映画」ではなくなり、特性のある監督が作品を次々と発表する「作家の映画の時代」と呼ばれたりしていた。映画は「文化」であり、政治と社会状況と切り離して「サブカルチャー」風に考えるのは間違いだと考え、後に、映画を作るのは監督=作家一人ではないので、「映画作家は運動者である」と主張し始めたりした。
 しかし映画が斜陽産業化すると同時にコマーシャリズムが勃興してきて、「宣伝」産業の中の映像媒体として扱われるようになる。それに抗して「作家の映画」や「運動の映画」と呼ばれる意味もあった。
 ただし、私たちのようにアンダーグラウンド映画、若松孝二のようにピンク映画という「はずれ」は、その「はずれ」を逆手にとって突破しながらやるしかなく、いわば、政治的・文化的な「突貫小僧」に徹する以外になかった。作品の中身も全部そうだ。
 若松は、新左翼だの組織だのは大嫌いで、信じるのは自分個人としての自我だけと主張していた。私も、それはその通りだと賛成する反面、丸ごと...







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