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評者◆ベイベー関根
観よう! 読もう! 『琉神マブヤー』!──丸山哲弘著『琉神マブヤー 第三巻』(本体四一九円、秋田書店)
No.3082 ・ 2012年10月13日




 うおお、『琉神マブヤー』、超面白れえ~! 悪の軍団・マジムンが伝説のマブイストーンを狙って沖縄に襲いかかる! 沖縄に点在する(らしき)マブイストーンが奪われると沖縄の人たちはウチナーグチが使えなくなったり、カチャーシーができなくなったり、人類みな他人と思うようになってしまうのだ! これは大変! そのマジムンに立ち向かうのが、ニライカナイからやってきたマブイストーンの守り神、琉神マブヤーだ! がんばれマブヤー! 必殺技スーパー・メーゴーサーでマジムンたちをたっぴらかせ!
 というわけで、ウチナーグチ満載で沖縄県民を魅了する痛快娯楽ヒーローTV番組、それが『琉神マブヤー』だ! その人気は子供からおじぃ、おばぁまで幅広く、あっという間にシリーズ化、映画化まで決定、ヒーローばかりか、マヌケさとユルさ溢れる悪の軍団マジムンが人気を集めて(というか、子供以外の層には圧倒的にマジムンの方が人気があるとか)、幹部(?)のハブクラーゲンとマングーチュは、ちゃっかりインターネットラジオ番組「マジムンラジオ」までもっているほどなのだ!
 ……え? TV番組? そう、以上はTVの話。そしてそれをマンガ化したのが、今回紹介する丸山哲弘『琉神マブヤー』なんさぁ!
 とはいえ、TVの雰囲気とはちょっと変わって、主人公はヒーローに憧れつつ、女子のおっぱいにも興味がある中学生ユウに変更されるなど、登場人物やストーリーは全体に低年齢層向け、ギャグ中心にリヴァイズされちょるね。マブイストーンを奪われて困るネタが、シーサーがなくなったり、チャンプルーが食べられなくなったり、みたいなレベルなんだけど、そこがまた他愛なくていいんだなー。沖縄のよい子はこれを読んで沖縄を愛する気持ちを育んでくれ!
 TVでのメインのコンセプトでもあった、ボスのハブデービル率いるマジムンの愛すべきユルさはマンガ版でも健在で、これもうれしいねえ。
 そのマジムン、元ネタがハブやクモやマングースやオニヒトデから来ているとおり、沖縄の自然の象徴なんだよな。一方、マブヤーが守ろうとするマブイストーンが表しているのはみな沖縄の文化や習俗にまつわること、つまり沖縄の人々の生き方を指してるわけだ。マジムンがなんで悪さをしようと思うかというと、人間が自然を汚してしまったからで、マジムンは人間に、おまえも同じ目に遭ってみろ、といいたいわけ。マブヤーは人間を守りはするけれど、マジムンを殺すところまでは絶対にやらない。つまり、『琉神マブヤー』は、人間よ、自然と仲良く暮らしていこう、というメッセージが込められた作品だったんだな!
 ……みたいな原稿を書こうと今年の2月くらいの段階では考えていたんだけど、いろいろネタがたまってる順番に書いていったら『琉神マブヤー』マンガ版、3巻で終わっちゃったよ!(苦笑)まいったな~。
(セックスシンボル)







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