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評者◆秋竜山
今、一番必要なペコペコ、の巻
No.3081 ・ 2012年10月06日




 樋口清之『日本の風俗の謎』(だいわ文庫、本体六四八円)は、〈本書は『日本の風俗 起源がよくわかる本』(二〇〇七年、小社刊)を改題・再編集したものです。〉と、あるから、「だったら、その時、読んでいるはずだ」ということになる。でも、忘れてしまっていることは二度読みということだ。ナゼ忘れてしまっているのか、それが謎だ。ナゾ本、謎本、「ナーンダ、ソーダッタのか本」の面白さは、興味のつきることはないだろう。続けて三度読み四度読みと続けられるかもしれない。ちょっと本のタイトルが変わると違った本になってしまう。これが小説だったら、そんなことはないと思うが。何度も手に取らせるのは本そのものが常に新鮮味があるからだろう。〈おじぎ‐頭の下げ合う理由〉という項目がある。一歩外へ出ると、おじぎをしないではすまないだろう。ペコペコ人間。リョード問題も、お互いにペコペコのおじぎ上手ならうまくいくはずだ。今、一番必要なのは、ペコペコである。
 〈世界には実にさまざまな挨拶の仕方があります。握手、ほおずり、キス、あるいは鼻をすり合わす、額をすり合わすなど、ほんの一例にすぎません。〉(本書より)
 日本人は、頭を下げておじぎをする。そーいうものだと思っている。
 〈このことが出てくる最古の文献は、二〇〇〇字が語る幻の邪馬台国で有名な「魏志倭人伝」です。〉(本書より)
 おじぎをするということの意味は当然あるわけだが、こっちが頭を下げたら相手も同じように頭を下げてほしいものだ。お互いに意味をわかりあえるためにも。「すみませんでした」と頭を下げる行為が邪馬台国の時代から今日にいたるまで続けられているということは、日本人は、頭を下げること(相手を思うこと)に自信と勇気を持ってほしいものだ。と、いいつつも、相手もその気になってくれなくては、バランスがとれないだろう。〈紹介‐目下のものが先〉という項目も面白い。
 〈日本人の場合、知人を紹介するときには元来、まず目下の者から順におこないます。これは外国人の場合と逆で、向こうでは代表者を先に紹介するならわしになっています。外国人は上から下へ、日本人は下から上へ、というわけです。〉(本書より)
 これは、知っておく必要があるだろう。で、もし外国人と紹介のしあいっこになった時、どーしたらよいのだろうか。「私は、日本流で行なわせていただきます」と前置きして、下から上へと紹介すべきだろうか。そうしないと、とんでもないゴカイをまねくことがあるだろう。日本は前座から、西洋では真打が先ということになるのか。だとしたら、西洋などの落語は真打から始まって、前座で終わりということになるのか。スモウだってしかり。横綱から土俵にあがって、最後はふんどしかつぎで終わるということも間違ってはいないだろう。
 〈神を呼び寄せる場合なども、位の低い神から始めて、最後にいちばん尊い神を呼びます。〉(本書より)
 日本人は、最後にアンコを食べ、外国人は最初にアンコを食べる。なんてことはあるまい。なんでも逆ってことではないってことだ。







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