書評/新聞記事 検索  図書新聞は、毎週土曜日書店発売、定期購読も承ります

【重要なお知らせ】お問い合わせフォーム故障中につき、直接メール(koudoku@toshoshimbun.com)かお電話にてバックナンバー・定期購読の御注文をお願い致します。

評者◆ベイベー関根
男もつらいけど、女もつらいのよ。歳はいくつであろうと。──冬川智子著『マスタード・チョコレート』(本体一〇〇〇円・イースト・プレス)、末永史著『銀恋――もう若くない私の恋は少しかなしい』(本体一〇〇〇円・ワイズ出版)
No.3077 ・ 2012年09月08日




 いやー、ピクピクン先生は面白いなー。イケメンホストからエロマンガ家に転身して、栃木で半農半マンガをやってるという変わりダネ。実際かなりのイケメンなんだけど、どこかをこじらせちゃったらしく、オナニーに明け暮れてる様子をブログで赤裸々に激白しておられます。興味のある人はググってみて。ま、残念ながらマンガより本人の方が面白いってのが痛しカユしだけどな!
 とにかく、草食系とか2次元がどうとかといわれたりもするが、ことほどさように男はたいへんだ(いや、ヘンタイ?)という話。
 しかし! 今回のタイトルどおり、男もつらいけど、女もつらいのよ((c)矢野顕子)。「ラーメンたべたい」、実は夫婦ゲンカの歌だよな。ま、それはいいや、今回の本題に入ろう!
 1冊目は、冬川智子『マスタード・チョコレート』。普通高校から美大を目指そうと高3の夏から美術予備校に通いはじめたつぐみは、人とかかわるよりもひとりでいる方が気がラクで、あまり感情も表に出さないタイプ。話をする相手といえば(作中でね)、ちょっと軽い感じの友達早川、講師の矢口、それから世捨て人っぽい雰囲気の浅野くらい。早川は矢口に憧れているが、矢口が気になっているのはつぐみで、つぐみの方は、マイナーだけれどお気に入りのバンド「イグルー」を浅野が知っていたことをきっかけにしだいに彼に惹かれていく。そして……。
 という、まあ、ありがちといえばありがちな高校生の恋物語なんだけど、シンプルな絵ながらじっくり丁寧に心の動きを拾っていくのに感心したのと、作者の自伝的な作品ではけっしてないと思うんだけど、この生きにくさはわかるなー、という気がしたのでつい取り上げてしまったぜ。ケータイサイトに連載されてたマンガということもあって、コマのかたちはすべて同じ、その枠で何をどう表現するか、という点も見どころだ!
 ありゃ、意外に字数くっちゃった。2冊目は末永史『銀恋』。『ヤングコミック』とか『COMICばく』とかで描いてた大ベテランっす。さっきの『マスタード・チョコレート』の初々しさからはうってかわって、主に熟女の立場から世界を見つめる短篇集だ!
 これはキツい人はそうとうキツいと思うな、久しぶりだから絵もそうとうヘタってきてるし、しかも、最初に出てくる「私を恍惚とさせてください」って作品からして、齢70の女性がセックスするっていう話なんだから! そんなマンガを取り上げるレヴューアーはそうとうマニアックと呼ばれてもしかたがないが、いや、これこそが現在に必要なマンガなのだ! と、とりあえず強弁しておこう!なんつっても一番気持ちを代弁してくれる人が少ない層だからなー。夫を愛せない気持ちを淡々と(それゆえにコワい!)描いた「奥松島海岸温泉」とか、イテテテテ! って感じっす。
 なお、卯月妙子『人間仮免中』は当欄では扱わないので、評判が気になる人はほかのレヴューを読んどいてくれ! でわ股!







リンクサイト
サイト限定連載

図書新聞出版
  最新刊
『新宿センチメンタル・ジャーニー』
『山・自然探究――紀行・エッセイ・評論集』
『【新版】クリストとジャンヌ=クロード ライフ=ワークス=プロジェクト』
書店別 週間ベストセラーズ
■東京■東京堂書店様調べ
1位 マチズモを削り取れ
(武田砂鉄)
2位 喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
(山下賢二)
3位 古くて素敵なクラシック・レコードたち
(村上春樹)
■新潟■萬松堂様調べ
1位 老いる意味
(森村誠一)
2位 老いの福袋
(樋口恵子)
3位 もうだまされない
新型コロナの大誤解
(西村秀一)

取扱い書店企業概要プライバシーポリシー利用規約