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評者◆秋竜山
茶の間から生まれる日本語、の巻
No.3075 ・ 2012年08月18日




 寒い!! と、いって文句をいう。暑い と、いって文句をいう。文句をいいたくはないが、いわざるをえないからいうのだ。かつて、「雨の降る日は天気が悪い」と、いって笑ったものであった。この猛暑、雨をほしい。雨の降る日は天気が悪いどころか、天気が良いということだ。でも、雨はなし。文句をいいたい。気象庁は何をしているんだ!! とは、「なんで文句をいわれなくてはならないんだ!!」と、反対に文句をいわれるだろう。加藤昌男『テレビの日本語』(岩波新書、本体八〇〇円)で、気象に関することが書かれてあった。
 〈次々に登場する気象の新語、気象に関することばもテレビを経由して広まったものが多い。〉(本書より)
 新日本語はテレビから生産され、それについていける者もいれば、流行語として使いこなしていく者もいる。テレビから生産されることにおいては、文句はいえないだろう。日本語が乱れるという考えもあるようだが、そもそも正しい日本語とはなんぞや!! となるとややこしくなってくるだろう。テレビ文化から生まれる日本語というのは、茶の間から生まれる日本語ということになるだろう。
 〈「集中豪雨」はもともと正式な気象用語ではなく、一九五三(昭和二八)年、京都で豪雨を朝日新聞が「集中豪雨」と報じたのが始まりとされる。「ゲリラ豪雨」は民間気象会社や天気キャスターが使い始め、テレビを通じて広がった。最近は「爆弾低気圧」といった物騒な新語までテレビに登場する。〉(本書より)
 さあ、次はなんだろう。おたのしみだ。天気予報ほど、生番組はないだろう。昨日の天気予報を今日報道したところで全く意味ないものである。天気は予報するところに価値があるというものだ。昔、ラジオの時代は、天気予報がはずれると、あくまでも予報である!! なんて、いったりした。当たりはずれのあるところが面白くも、にくめないところがあり、多くの漫画になったものである。今の天気予報は、まずはずれない。と、いうことは、テレビで雨といったら雨であり、晴れといったら晴れである。天気のほうがテレビ天気予報にあわせているようでもある。
 〈一日の最高気温が二五度以上の日を「夏日」、三〇度以上の日を「真夏日」と呼ぶが、それを超える日が増えた。そこで三五度を超える日は「猛暑日」と名付けられた。〉(本書より)
 では、ソーテー外とでもいえるかいえないかは知らないが、四〇度を超える日は、なんと呼んだらよいのか。ソーテー外という言葉はない!! ともいわれる。ならば、今の内に、その呼び名を考えておくべきではあるまいか。「地獄日」とか(私の考えはこの程度のものである)。〈そもそも天気予報は、二五年にラジオが生まれた初日から放送されている放送プログラムの定番である。〉すごい歴史だ。雨の日も風の日も天気の日も、天気予報は休むことなく放送されているだろう。ラジオ体操もそうであるだろう。あれも放送の歴史は古い。それこそ、雨の日とか風の日とか、そんなことはいっていない。毎朝、きめられた時間になるとラジオから流れてくる。元気のでるメロディーにのって。あの曲をきくだけで体を動かさなくても体操をした気分がしてくるものだ。そーだ。天気予報も元気のでるものにしてほしい……ね。







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