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評者◆安藤礼二
探偵のロジックから世界のルールへ――哲学と文学の交点を探偵小説に探る試み
探偵小説の様相論理学
小森健太朗
No.3073 ・ 2012年08月04日




 探偵小説とは「論理」――作品世界に提示された「謎」の論理的な解明――を主題としたフィクションである。作者も読者も、「論理」に従って物語を構築し、解読していかない限り、作品世界そのものが崩壊してしまう。最も意識的な探偵小説の書き手であり論じ手である小森健太朗は、探偵小説の「論理」を考え抜く。前著『探偵小説の論理学』で小森の導き手となったのは、自らも探偵小説を愛読していたという哲学者バートランド・ラッセルである。小森は探偵小説を成り立たせるための三つの公理を提出する。
 第一公理 叙述の真実性の保証
 第二公理 探偵存在の保証
 第三公理 犯人の行動の合理性の保証
 第一公理は「語り手」の問題、第二公理は「探偵」の問題、第三公理は「犯人」の問題である。この三つの存在が「嘘」をついていない限り、つまり物語内で合理的な行動をとっている限りにおいて、探偵小説というフィクションの形式が十全に成立する。「語り手」も「探偵」も「犯人」も自己同一性を全うするのだ。小森は、この自己同一性の保証にもとづいた三つの公理から成り立つ探偵小説を、ラッセルらが主張した、主体の唯一性を保証する「還元公理」(述語への還元)にもとづいた論理学と通底する論理構造をもったフィクションであると捉える。
 しかし、二つの...







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