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評者◆秋竜山
人間は足を使わなくては、の巻
No.3072 ・ 2012年07月28日




 週刊誌の新聞広告ほど面白いものはない。もしかすると、あの面白さこそ、今日性の笑いのチャンピオンかもしれない。どの週刊誌も、相手の週刊誌をニラミつつ作成されるのであろうと思えるほどにレイアウトが一緒である。週刊誌名をとると、どこの週刊誌かわからないだろう。それでも内容の見出しが各週刊誌によって違っているから、読者としては、どこの週刊誌であろうとおかまいなしだ。内容が面白ければよいのである。とにかく、毎週掲載される広告がたのしみだ。大笑いさせてくれるからだ。などと、思いつつ、単行本のことだけど。本には目次というものがある。どの本にもある。目次のない本ってあるかしら。私の今、手にしているのは、天台宗大阿闇梨・酒井雄哉『ムダなことなどひとつもない』(PHP研究所、本体九五二円)だ。まず、目次。たんねんに書かれた目次である。第1章から第5章まである。並べられている各項目を順に読んでいく。週刊誌の見出しなら大笑いの連続ということになるのだが、さすが本書は、そういう笑い本ではない。まじめな本である。まじめで、ためになる本ということだ。著者の酒井雄哉は偉い坊さまでもある。
 〈千日回峯行を二度満行した現代の「生き仏」が語る人生の知恵〉(オビより)
 本書の目次を目にしながら、この目次を読み進めていくだけで本書を読んだような気分になってしまうだろうと思えてくる。たとえば、本書の中身を読んだ後に、読書記録のような形でメモした場合、本文の長い文章をメモのように短くすると、この目次のような文章になってしまうだろう。と、いうことは、読書記録には、この目次を丸うつしにすればよいのか(そーいうことはあるまいけど、ね)。引用させていただきますけど、〈第1章 人生の「本線」があると、生きるのがラクになる
 人生に、ムダなことはひとつもない
 あれこれ考える前に、とにかくやってみる
 自分の「本線」を定めると、挫折しなくなる
 どんな時も、なるようにしかならない
 「行くんだ!」と決めたら、道は拓ける
 自然に逆らおうとすると失敗する
 今できる最低限のことをやっていけばいい
 どんなことも、多くの人の支えがあるからできる〉(本書、目次より)
 このように、第5章まで続くのである。文字の自信のある人だったら毛筆で書いて床の間にでもかざっておきたいほどの名文句である。でも、やっぱり本文を読まずに、項目だけで満足してしまっては、本や著者に対して申し訳ないだろう。各章を通じて、〈歩く〉ということである。やっぱり、人間は足を使わなくてはいけないんだ。
 〈ただ歩いているだけで、多くの出会いが生まれる〉〈歩くことは、行動を起こす出発点〉(本書より)
 歩こう。歩こう。サテ、万歩計はどこへやったかな。と、さがしまわったがついに見つからなかった。ただ歩くのは芸がないというか、もったいないから、スケッチブックでも持って……。これではダメだ。スケッチなんてしないで、どんどん先へ進まなくては。まず汗がでるほどに。それが健康的によいとか。







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