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評者◆天笠啓祐
反原発運動の拠点『技術と人間』――力及ばず福島第一原発事故を防げなかった悔しさ
『技術と人間』論文選――問いつづけた原子力 1972‐2005
高橋曻・天笠啓祐・西尾漠編
大月書店
No.3071 ・ 2012年07月21日
雑誌を創刊する際には、まず0号が作られる。広告掲載を依頼したり、販売促進用に作られるものである。『技術と人間』誌を創刊する際にも作った。0号と創刊号を比較すると、表紙は似ているが、中身は大きく変わった。刊行はアグネという「金属」誌を発行する理工系出版社。同社のポリシーに基づき、広告料で採算をとる方針で、広告の大半を大手メーカーなどの企業からと考えていた。1972年に刊行された創刊号には、多くの企業広告が集まった。しかし、その編集内容をみた企業は驚いた。企業を告発した記事が並んでいるからだ。それは、編集部で話し合い、広告に依存するような雑誌では、物事の本質をつくような編集ができないと考えたからである。
「告発型」雑誌となったことで、次々と広告掲載企業がなくなり、雑誌は廃刊の瀬戸際に追い込まれた。そのとき、ある悪名高い公害企業から高額での広告掲載の申し入れがあった。出版社としては、喉から手がでるほど欲しかった。しかし、その企業の広告を掲載することは、雑誌にとっては自殺行為だった。編集部は拒否したが、それは出版社の方針とあい入れず、廃刊を意味した。 編集長・高橋曻と私は、廃刊ではなく、雑誌を継続させるために独立して新しい出版社を創ることを選択した。当初、雑誌の発行は季刊だった... 【現在、図書新聞を定期購読されている方】 から「ご契約者のお名前」「郵便番号、ご住所」「メールアドレス」「ID・パスワード新規取得」の旨をご連絡ください。 【定期購読されていない方】 定期購読契約が必要です。 こちらから をしてください。 |
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