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評者◆伊達政保
自由と喜びにあふれた、総勢50人を超える共演――小学生から高校生までのジャズ・ビッグバンド「チョビ渋」のツアー
No.3069 ・ 2012年07月07日




 オイラのゴールデン・ウィークは、4月29日宮城県仙台市郊外のアラバキ・ロックフェスから始まった。二年前にこの欄で書いた、札幌文化財団のプロジェクトである、小学生から高校生までのジャズ・ビッグバンド「チョビ渋」のツアーがここからスタート、それも渋さ知らズ・オーケストラとの共演である。何はさておき駆け付けた。昨年の震災直後と今年の1月、札幌芸術の森で行なわれたチョビ渋の発表会的コンサートにも出かけてきたが、子供たちの演奏が一回りも二回りも大きくなっていた。とりわけ個々の表現が自由で喜びに溢れていて、渋さのメンバーに臆することなく、総勢50人を超える共演は朝一のスタートにもかかわらず、満場の観衆に絶賛をもって迎えられた。
 5月1日、東京のライブハウス江古田バディ。1部はチョビ渋、2部は渋さという構成だ。東京のライブハウスでの初めての単独演奏ということで、子供たちは緊張するかと思いきや大人顔負けのステージ。演奏前はまるで修学旅行のようにはしゃいでいたのだが。渋さはいつもとは違った演奏と曲目。明日から始まるクラシックの祭典への公開リハも兼ねていたのか。
 そうなのだ、毎年5月の連休に丸の内の東京国際フォーラムを中心として開催されるクラシックの音楽祭ラ・フォル・ジュルネ「熱狂の日」に、渋さ知らズとチョビ渋が出演するのだ。今年はサクル・リュス(ロシアの祭典)としてロシア音楽をテーマとしている。クラシックの祭典になぜ渋さがと思ったのだが、この音楽祭発祥の地フランスのナント市のジャズ・フェスに07年渋さは出演し、ラ・フォル・ジュルネの芸術監督ルネ・マルタンもそれを見て感動したのだという。オイラこの時の渋さについて、「見せ物」は「祭り」の重要な要素、と書いている。「熱狂の日」の公式ジャンルでも、渋さを総合見物音楽と紹介していた。
 2日プレ・ナイトの地上広場では、チョビ渋がムソルグスキー「展覧会の絵」をアレンジした演奏、次に渋さがロシアのメロディーを使った演奏を行なった。3日の午前中、展示ホールでのチョビ渋、もはや堂々とした演奏だ。夜の中ホールでのラストが渋さ。舞踏やダンスを従え、まるでストラビンスキーのバレエ組曲を思わせる。著作権の関係で演奏できないメロディーを観客に歌わせ、そこに火の鳥を思わせる巨大なバルーンが登場、観客は総立となる。最後には招待されていたチョビ渋の子供たちが踊りながらステージに現れ、興奮のうちに演奏は終了した。4日は昼と夜2ステージずつの渋さの演奏。渋さの出演はこれで終了し5日と6日のライブハウスでの演奏に向かっていった。







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