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評者◆ベイベー関根
アハハ、戦争って楽しいな!(マンガだと)――望月三起也『バサラ戦車隊』(本体一〇〇〇円・大日本絵画)、速水螺旋人『大砲とスタンプ 第一巻』(本体五六二円・講談社モーニングKC)
No.3066 ・ 2012年06月16日




 「たまには戦争だってしたいんだ、ぼくたちは!」と矢作俊彦はいった(わけではない)が、まあそんなこたあどうでもいいや。
 昔のヒーローってさ、ウルトラマンとかすごいシンプルだったけど、最近はヒーローもメカも怪獣もゴテゴテしてるというか、複雑だよね。本当はシンプルかつ人の心を掴むことこそスゴい気がするんだけど、なんか飛行機とか戦艦に入れ込む人の反応を見てると、デコラティヴなものに惹かれることにもやっぱり一端の真実があるなとか思っちゃう。しかも、そのゴテゴテを愛おしそうに、またモデルがあるものはチミツ~に描いたりするんだよな。アニメにしたら大変だよ!
 まあ、そういうわけで、今回は戦争マンガの新旧そろい踏みと行こう!
 まずは『ワイルド7』でおなじみ、望月三起也先生の『バサラ戦車隊』だ! 見よ、このジャケット中央の太ももを! 開幕部分のウムをいわせぬ引っぱり具合を! 枯れてねえ~!
 ストーリーについては帯文がうまくまとめてくれてるので、それをそのまま引用しちゃえ。「終戦前夜の満州を、はぐれ部隊“バサラ戦車隊”が駆け抜ける!ソ連機甲軍団と馬賊を相手に、彼らは無事脱出出来るのか!?」とのこと。『ワイルド7』でいえば飛葉にあたる侠気溢れる主人公・司馬、部隊長のシャチョー、足を引っ張る少尉、薬草の研究をしているおじいちゃんと可憐な孫娘……彼らの前に(当時はまだなかったはずの)ミニスカ姿のソ連側女将校が立ちはだかる!
 三つどもえのアクション、友情、淡いロマンスと、望月先生の自家薬籠とする技が次々と叩き込まれる快感! そして、戦車の解剖学に熟知したとしかいえないこのリアリティ、たまらんぜ! 最初の数ページは主線がちょっと不安定な感じもあるけど、どんどん調子を上げてくる感じも見物だ!
 さて、巨匠・望月が「実物リアル」だとすると、「うそんこリアル」の代表選手が速水螺旋人だ! 『天元突破グレンラガン』のメカデザインもやってます!
 こちらの主人公は、大公国兵站軍アゲゾコ要塞補給廠管理部第二中隊マルチナ・M・マヤコフスカヤ少尉。大公国っていうのは帝国と同盟を組み、共和国と戦争をしているらしい(以上、帯文からの情報)。「責任問題ですよ!」というのが口癖の朴念仁なメガネっ娘、マルチナ嬢は、書類を回して前線の後ろで必要な物資を調達する兵站がお仕事。デスクワークがメインだけれど、ついいろんな事件に巻き込まれることに……(でないと面白くならないからな)。ちなみに太平洋戦争で日本軍が敗けたのは兵站がダメだったから、とはよく聞く話。
 萌え萌え~な絵で描かれたどこにもない世界で、なさそでありそなメカが続々と登場! 作者の頭の中で展開されるディテールがこれでもかと描き込まれていくのであった! 兵器の解説が1ページ大と見開きと、わざわざ2回ずつ出てくるフェチぶりには、まさに脱帽です、少尉殿!(苦笑)







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