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評者◆秋竜山
人間は、バカでできている、の巻
No.3059 ・ 2012年04月21日




 人間は、なにでできているか。なんて入試の問題にでていたら、バカでできていると、書くと大正解だろう。ところが、×となる。×をつけたのはバカであった。やること、なすこと、すべてバカ。そもそもバカとして生をうけたのだから、どうしようもないだろう。「私はバカではない」という人は「私は利口である」と、いいたいのか。それほど利口がお好きでしたら、利口としておきましょう。立派な利口バカである。江戸時代に、「古今百馬鹿」という読み物があった。漫画家、横山隆一さん作、「百馬鹿」という、馬鹿ばかりのヒトコマ漫画のオンパレードの馬鹿人間たちが描かれた。その漫画で発見されたのは、馬鹿につける、つまり、「何々の馬鹿」とすれば、すべて笑ってしまうケッサク漫画になってしまうということだった。なぜ、人間は馬鹿なのか。と、真の笑うべき資格を持っているのは動物だけではないだろうか。しかし、残念ながら動物は笑えないのである。動物が笑えない。だからこそ、人間はやっていけるのであって、もし、動物が笑えたら人間は人間としてやっていけないだろう。そりゃそうだ。犬にほえられるのはいいが、笑われたら、生きていけないだろう。バカといわれ、俺はお前よりバカではないと、いいかえせたら正解だろう。ついに出ました。テリー伊藤『バカの正体』(角川oneテーマ21、本体七二四円)。バカをテーマにした本であるから、「バカだなあ」と、笑わずにはいられないが、でも、ジーンとさせられてしまう。
 〈もちろん、ひと口にバカと言っても、いろんな種類のバカがある。優柔不断なバカ、頑固なバカ、夢ばかりみているバカ、すぐ怒るバカ、いつでも不安なバカ、仕事バカ、親バカ、バカ社長……。いまの世の中で、あちこちに見受けられるバカの症状を46項目、列挙して、その処方箋をそれぞれ記した。この中に、きっとあなたが日ごろ困っているバカの症状が見つかるはずだ。〉(本書より)
 バカにつける薬がないということになっているが、本書ではバカにつける治療法で、
 〈完治したとは言えないが、ずいぶん改善して重症が軽症になった例もあるし、そのおかげで楽になったり、ストレスがなくなったりしている。それと同時に、「あの人にこの薬を処方すれば、この国がよくなるはずだ」「あの人にこの薬をつければ、みんなが幸せになるはずだ。みんなが助かるはずだ」と考えて書いた項目もある。〉(本書より)
 〈存在感があるバカ〉というコーナーでは、
 〈「あの人、存在感があるよね」これは、よく褒め言葉として使われる。「ぼくの目標は、もっと存在感のある人間になることです」いまもどこかの会社で若手社員がそんなことを言っていそうだ。しかし、存在感がある人なんて、私はイヤだ。私は存在感のある人になんかなりたくない。もし存在感のある人間になどなってしまったら、周りの人たちは、いちいち気が重いだろう。存在感があるということは、言い方を換えれば、オーラが出ているということだ。お釈迦様のように後光が差している。そうなってしまったら、もう人は気安く寄ってこられなくなる。どこからも情報が入ってこなくなるし、だれからも何かを吸収できなくなってしまう。(略)〉(本書より)
 存在感を消せばよい。それにはどーやって。テリー流に笑ってしまう。







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