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評者◆井口時男
文学は滅び芥川賞は残る――第一四六回 芥川賞受賞二作(『道化師の蝶』、『共喰い』)を読む
道化師の蝶
円城塔
共喰い
田中慎弥
No.3054 ・ 2012年03月17日




 もう八年前になるが、小さな雑誌に「文学は亡び芥川賞は残る」というエッセイを書いたことがある(「群系」第十七号、翌年「文芸思潮」第一号に転載)。もちろん前者は「社会的に」亡び、後者は「社会的に」残るのである。
 理由は簡明だ。芥川賞は選評と受賞作が「文藝春秋」という大部数を誇る総合雑誌に発表されるからだ。そういう文学賞は他にない。つまり、芥川賞は「純文学」と世間とをつなぐ唯一の窓口なのだ。マスコミは他のどんな文学賞も無視して芥川賞だけを報じる。芥川賞とほぼ同格の野間文芸新人賞や三島由紀夫賞のことなど世間は知らない。芥川賞受賞作家が物故すれば、経歴欄には必ず芥川賞受賞と記される。「純文学」など読みもせず関心もない世間人も、芥川賞だけはかろうじて知っている。文藝春秋の「戦略」の勝利、菊池寛の先見の明である。
 今回は、田中慎弥の記者会見での発言が世間の話題になった。「都知事閣下のためにもらっといてやる」というあの発言は、反・権威的で(石原慎太郎は芥川賞の選考委員である)反・権力的で(石原慎太郎は都知事である)、それがたぶんマスコミ人の溜飲を下げた。もちろん、発言者がとうてい現存の権威や権力に取って代われそうにないキャラクターであることも、マスコミ人が無責任におもしろがれた理由だろ...







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