書評/新聞記事 検索  図書新聞は、毎週土曜日書店発売、定期購読も承ります

【重要なお知らせ】お問い合わせフォーム故障中につき、直接メール(koudoku@toshoshimbun.com)かお電話にてバックナンバー・定期購読の御注文をお願い致します。

評者◆ベイベー関根
おぼこJKとアラサー女子が心の生傷をえぐりあう!――小藤まつ『半熟ガールフレンド』(本体四〇〇円・集英社マーガレットコミックス)、峰なゆか『アラサーちゃん』(本体八八〇円・メディアファクトリー)
No.3053 ・ 2012年03月10日




 やべーな、小藤まつ『半熟ガールフレンド』を取り上げようと思ってたら、年を越しちまった! 順番にやってくと、そういうことになっちゃうんだよなー。
 うかうかしてるうちに、峰なゆか『アラサーちゃん』まで出ちまったとは、いったいどうなってんの、この業界? といっても、これも出たのは去年だけどな!
 で、考えたのは、このおぼこぶるにもホドがある『半熟ガールフレンド』と、女の本性をこれでもかっつーくらいアラワにした『アラサーちゃん』をいっしょに取り上げて、あれ? 意外に違わなくね? っていう話にするのはどうか。どうかって、もうオチばらしちゃってんじゃねーの!
 というわけで、まず『半熟ガールフレンド』から始めるぜ。作者の小藤まつは、『別マ』を拠点に活動する、胸にキュイーンと来る少女マンガを描かせたら天下一品の今やベテラン作家。
 もともと大のイケメン好きだったのが、ふられまくった反動で食い気に走り中女子高生あおか。イケメン嫌いを名乗る彼女にも気になる男子がいる。顔はいいのに影が薄い「残念なイケメン」臼田くんだ。臼田くんが美少女蜷川さんに片想いしているのを知って、彼のプロデュースを買って出るあおか。二人の恋はうまく行きそうになるのだが、それを演出しているはずのあおかの心にはなぜかうずくものが……。
 ぎょえー、絵に描いたような少女マンガだ! いや、マンガだから絵に描いてるんだけど。たぶん読者全員、ええいもう、はっきりせんかい! とじりじりしながら、登場人物たちの背中を押してやりたい気になっているに違いない!小ネタの満載ぶりも好感度大。
 次、『アラサーちゃん』。元AV女優のライター峰なゆかがWebで描いてた四コマを集めたもので、アラサーちゃん、ゆるふわちゃん、ヤリマンちゃん、文系くん、オラオラくん、大衆くんなど、男女をいくつかのタイプに分けつつその生態と心のつぶやきを赤裸々に暴いた作品だ。まあおっさんちゅうものは、こういうエロいこと描いてくれる女がいるとついウハウハしちゃうもんで(内田春菊とか室井佑月とかな)、当然これも読んじゃうぞ。
『臨死! 江古田ちゃん』を思い出す人も多いだろうけど、こっちの方がややクールか。その違いについてムリして考えると、『アラサーちゃん』の方が文化的な広がりは少ないけど、サンプル数は多い気がする。SATCっぽく感じるのはそのせいか?
 したら、実はこの作者、面白い本をいっぱい読んでることがわかったぜ! 各ページに敷いてる地色のコンビネーションと合わせてポイント高いところだ!
 それだけではない! 本紙編集長も細長いグラスを洗うその手に、白魚のようなその指に見とれたことがあるというのだ! 聞き捨てならんとはこのことよ!
 で、この二作の共通点は? そりゃ「やっぱりみんな愛されたい」に決まってるわな! 子供のころに抱えてたそういう気持ち、オトナになっても大事にしとけ! 甘酸っぱいぜ!
(セックスシンボル)







リンクサイト
サイト限定連載

図書新聞出版
  最新刊
『新宿センチメンタル・ジャーニー』
『山・自然探究――紀行・エッセイ・評論集』
『【新版】クリストとジャンヌ=クロード ライフ=ワークス=プロジェクト』
書店別 週間ベストセラーズ
■東京■東京堂書店様調べ
1位 マチズモを削り取れ
(武田砂鉄)
2位 喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
(山下賢二)
3位 古くて素敵なクラシック・レコードたち
(村上春樹)
■新潟■萬松堂様調べ
1位 老いる意味
(森村誠一)
2位 老いの福袋
(樋口恵子)
3位 もうだまされない
新型コロナの大誤解
(西村秀一)

取扱い書店企業概要プライバシーポリシー利用規約