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評者◆細見和之
抵抗の力の中心としてのみ生き延びる個人――アドルノの「真意」がどこにあったかを繰り返し提示する
自律への教育
テオドール・W・アドルノ著、原千史・小田智敏・柿木伸之訳
No.3051 ・ 2012年02月25日




 戦後ドイツ(西ドイツ)の思想界を代表するアドルノの、現実との関わりを生き生きと示す著作の翻訳が刊行された。本書には一九五九年から一九六九年にかけてアドルノが行なった四つの講演と四つの対談(ひとつは鼎談)が収録されている。しかも、これらはいずれもヘッセン放送をつうじてラジオ番組として広範な聴取者にとどけられたものである。
 「アドルノとラジオ?」と違和感をもたれる向きもあるかもしれない。晦渋な文体と文化産業批判で知られるアドルノだが、彼は生前、頻繁にラジオ、さらにはテレビというメディアに登場していたのだ。最後の対談「自律への教育」は一九六九年八月十三日、アドルノの死のちょうど一週間後に放送されている。原書は一九七〇年に刊行され、以来、アドルノの本としては一〇万部に達する異例のロングセラーを記録しているという。
 ドイツで本書が長期にわたって読み継がれてきた理由には、まずもって、ラジオ放送として意識された平明さ、また、対談におけるアドルノの率直な語り口をあげることができるだろう。ここには「真意」を探らねばならないようなやっかいな言い回しは登場しない。しかしそれだけではなく、ほかでもない本書に収められた講演と対談が一貫して「教育」を焦点としていることも、大きな魅力をなしていると思...







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