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評者◆秋竜山
決定的な一行目、の巻
No.3041 ・ 2011年12月10日




 本を一行読むか読まないかのうちに眠ってしまう者が「読書法」に本を読み、一行読むか読まないかのうちに眠ってしまった。本と眠りとは切っても切れないもののようだ。なぜ、眠ってしまうのか。眠ってしまわないで本を読む法、なんて本があったとしても一行弱で眠りの中に入ってしまうのである。なんて、考えながら、日垣隆『つながる読書術』(講談社現代新書、本体七六〇円)を、読む。断っておくが、本と眠り人間は私ではありませんから。私の知っている人ですから。で、ありますから、本書を手に眠ってしまい、本を床に落っことすなんてことはいたしませんから。すぐれた読書術があるとしたら、眠らせないということにつきるだろう。それに、一行で眠らせなかったら、二行三行と進めるわけだから、いかに一行目が決定的であるかがわかる。
 〈改めて問うてみます。人は何ゆえに本を読むのか――。最大の理由は、「おもしろいから」でしょう。逆に言えば「読書はおもしろい」という体験を積み重ねられないと、たいていの人は本など読まなくなっていきます。おもしろくなければ、本に存在理由など、ないのです。〉(まえがきより)
 本書で、面白いと思った個所では、
 〈良書を大量に読むためには、くだらない本を「いかに読まないか」が大切です。それと同時に、記憶力がよすぎる(と思い込んでいる)のは困ります。生来の忘れっぽさが加齢とともに加速しつつあるやっかみでもなんでもなく、「一行目から最後まで、全部頭に入ったら大変だ!」という意識をくれぐれも持っていただきたいと、強調しておきます。(略)記憶力がよすぎると、大切なところも大切でないところもそのまま頭に入ってしまいます。〉(本書より)
 そのために〈頭の中が玉石混淆、混乱を極めるだけです。〉と、いうわけだ。その反対に、全然記憶しない本もあるということだ。記憶しすぎより始末がわるいということになるのかしら。本は読むためにではなく、買った本を部屋に並べるためにある。なんて、私は本気で読まずに本並べばかりしていた時があったりした時があったりしたものだ。並べた本を毎日ながめていれば、読まなくても、読んだと同じ意味をもつものだ!! なんてね。友人に、読まないと損ではないか、俺がもらっていく!! なんて。本人が読まないのを他人に読まれれば、それこそ本当の損というものだ、なんて思ったものであった。
 〈知的好奇心は学問によって満たされるというのは、明治までの話でしょう。今は「学校を捨てよ、本を読みに出よう」です。大人になり、とっくに学校と縁遠くなっている読者の皆さんであればなおのこと、知的好奇心を満たすツールとして本を活用したいものです。〉(本書より)
 それにはやはり「おもしろい本」に出会うことだろう。その、「おもしろい本」というのが曲者であって、人それぞれで「おもしろい本」も「おもしろくない本」となってしまうものである。だから書店で、「おもしろい本コーナー」なるものをつくり、おもしろい本を並べて置いたとしても、「おもしろくない本コーナー」とすべきだなんて客から苦情がでたりするかもしれない。そういえば、書店で居眠りしながら立ち読みしている人を見かけない。







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