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評者◆栗原康
子ども社会主義――子どもたちが大人の世界に別れをつげている。ご機嫌よう。
自叙伝
大杉栄著、大杉豊解説
土曜社
No.3040 ・ 2011年12月03日




 大杉栄の文章には伏字がおおい。戦前の社会主義者ならあたりまえと思われるかもしれないが、なにか政治的な表現をして伏字になったわけではない。たいていは性的な描写をして伏字になっている。ふつうそういうことを書くなら、もうすこし婉曲な表現をつかう。だが、大杉栄は気をつかわない。きっと性器かなにかをそのまま表現していたのだろう。のきなみ伏字になっている。ちょっとバカなんじゃないかとも思ったが、とにかく自分の欲望を直接的に表現したかったのだろう。本書を読んで、端的にそう思った。
 本書は、そのタイトルのとおり、大杉栄の自叙伝である。かれの幼少年期から青年期までが描かれている。「続獄中記」で本人が述べているように、本書の意図は、「自分の幼少年期のいっさいの腕白が、あらゆる権威にたいする叛逆、本当の生の本能的成長のしるしであったことを、書き表してみたい」という点にあった。いつだって子どもであること。本書は、大杉栄がその人生をつうじて、社会主義のなかになにをみいだしていたのかをはっきりと伝えてくれる。
 大杉栄は、幼少年期を新潟県新発田ですごした。学校がおわると、貧乏な子どもたちと陸軍練兵所にしのびこみ、弾丸拾いをしては、それを売っぱらってカネにしていた。それをバカにするワルガキでもいれば、...







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