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評者◆竹原あき子
フラマリオン、夏の図書館
No.3036 ・ 2011年11月05日




 パリ市長ドラノエがバカンスにいけない貧しい家庭や旅行者のためにセーヌ河畔にパリプラージュ(7月21日から8月21日まで)という遊び場をつくって10年になる。社会貢献をめざす企業の参加で、数えきれないほどの催しが連日セーヌ河でのバカンス族を楽しませる。
 創業1876年の出版社フラマリオンは水辺で本を読もうと、図書館を開いて5年。小屋に本棚があり、係員が読書相談や貸し出しの手続きをしてくれる。「素晴らしい内容を多くの読者に届ける」というフラマリオン創業者の理想を掲げたこの緑の図書館の、毎年300冊の選択眼が光る。純文学、マンガ、絵本と、子供はもちろん大人も一緒に楽しめる。バカンスは長椅子に寝そべって読書。これがフランス文化の風景。フラマリオンは家族で楽しんでもらおうと読書会、著者のサイン会、クイズ合戦、デッサン、ナゾナゾ大会など、毎週一回およそ2時間のプログラムを提案する。貸し出しはせず本はプラージュで読み、19時までに返却。身分証明書の提出だけが義務で無料。返却する時にはお土産がついてくる。紙幣のように印刷した紙に眼をこらすと、それは近代の詩。
 出版界の状況は日本ほどではないが、苦境にまちがいない。だからといって座って待っているわけではない。
(和光大学名誉教授・工業デザイナー)







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