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評者◆和田克司
全集特集 碧梧桐を待ちながら――大いなる基礎を世界に発信した、気概のこもった全集:『河東碧梧桐全集』完結によせて
河東碧梧桐全集
河東碧梧桐/短詩人連盟 「河東碧梧桐全集」編纂室
短詩人連盟 「河東碧梧桐全集」編纂室
No.3036 ・ 2011年11月05日
思えば『河東碧梧桐全集』全二十巻の完結は、十年の歳月に及ぶ努力の結晶としての刊行である。短詩人連盟の編集刊行は、來空氏の絶大な碧梧桐への敬愛なしには、あり得なかった全集である。一出版社が乗り出すことのできなかった難事業を氏は独力で成就された。
子規は言う。文学は生きる力である。文学によって生きる力が与えられると、生涯に及んで、子規はそう叫び続けた。碧梧桐はその弟子である。 あるいは、極寒のシベリア収容所でアムール句会を創立した山本北溟子が、「みんなで帰国するのです。その日まで美しい日本語を忘れぬようにしたい」と励ましつつ、明日知れぬ中、俳句に求めた生そのものを、辺見じゅん氏は『収容所から来た遺書』として発表し、自らの遺書と重ねるかの如く、2011年9月他界された。その生命。その文学。その俳句。これまた、碧梧桐が真摯に求め表現した世界に通じる。 子規の筆は、独特の柔らかさと気品を持つ。今日でこそ、碧梧桐の書体は、六朝風の独自の書で知られるものの、子規の書風にもっとも近い筆遣いが出来たのは、青年時の碧梧桐と、子規に私淑した柴田宵曲の二人であろう。碧梧桐の、初期の、たおやかで、柔らかい仮名の書風は、自らの書風確立以前の、碧梧桐の自在な器用さを示す。 碧梧桐は、その生涯に及... 【現在、図書新聞を定期購読されている方】 から「ご契約者のお名前」「郵便番号、ご住所」「メールアドレス」「ID・パスワード新規取得」の旨をご連絡ください。 【定期購読されていない方】 定期購読契約が必要です。 こちらから をしてください。 |
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