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評者◆竹原あき子
「国境なき図書館」
No.3035 ・ 2011年10月29日




 1971年にフランスではじまった「国境なき医師団」の活動はよく知られているが、5年前によく似た名前の団体「国境なき図書館 Bibliotheque sans frontiere」が発足した。後進国に図書館をつくるNGOだ。書店の前に黄色の箱を置き「アフリカの子供のための図書館をつくります。本を寄付してください」と呼びかける。パリでは劇場や書店の前に時々置いてある。異色の書店「シエクスピア・アンド・カンパニー」(SHAKESPERE AND COMPANY)、英語の本だけを販売する天井まで本で埋まったミステリヤスなこの書店には、パリにやってきたイギリスやアメリカの若い文筆家、ヘミングウエイやジョイスなどが集まったことでよく知られている。そのセーヌ川に面した店頭に置かれた箱に本が山のように積んであった。目的にあわない本は売り、活動資金にまわる。箱に「これらの本を持ち帰らないでください」と注意書きがあったのは、目的のわからない旅行者がいるからだろう。集まった本のほとんどはフランス語だった。戦前に出版された小説が数十冊もあった。黄色い「国境なき図書館」の箱は、読まれなくなった本がアフリカの学校で新たな読者を迎える旅の出発点だった。
(和光大学教授・工業デザイナー)







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