書評/新聞記事 検索  図書新聞は、毎週土曜日書店発売、定期購読も承ります

【重要なお知らせ】お問い合わせフォーム故障中につき、直接メール(koudoku@toshoshimbun.com)かお電話にてバックナンバー・定期購読の御注文をお願い致します。

評者◆編集部
こどもの本棚
No.3031 ・ 2011年09月24日




ダンプカーのしごと
まいにちごきげんさん
▼ダンプのちびトラ ▼マージェリー・カイラー 作/ボブ・コーラー 絵/とりやま みゆき 訳
 ちびトラっていうダンプカーをうんてんするのは、ピートくん。ピートくんはなんと、関西弁のおにいちゃんです。「おいら ちびトラ ダンプカーうんてんしてるねん ピートやねん」って、じこしょうかいもバリバリ関西人。「しごとや しごと」。いしころをてんこもりにして、ちびトラをはしらせ、うめたてちまではこびます。「こうじげんばや ぼちぼちいこか」。いしころをズガガガガーとおろして、「ほな これ ぜんぶ、たのんます」って、いっちょうあがり。かえりは、パワーショベルさんが、がれきをのっけてくれる。「ぎょうさん いれてや、まってるで」。がれきはずっしり、ぎっしり、てんこもりです。
 いったり、きたりのまいにち。でも、「めっちゃ すきやから やってるねん」とピートくん。きゅうけい、いっぷく、ひとやすみも、ちびトラといっしょ。とはいっても、ピートくんはコーヒー、ちびトラはガソリンだけどね。そんなコンビのいちにちをえがいたえほんです。(9月刊、24cm ×24cm 二六頁・本体一〇〇〇円・偕成社)

いろんなものに
みちあふれた世界
▼この世界いっぱい ▼リズ・ガートン・スキャンロン 文/マーラ・フレイジー 絵/長田弘 訳
 この世界はいろんなこと、いろんなものに、みちあふれている。しずかな日もあれば、荒れた日もあるし、暑い日もあれば、寒い日もある。あたりまえだけど、そんなときどきに「この世界いっぱい」って、感じる一瞬があるものだね。
 ある日、お父さんとお母さん、お兄ちゃんと妹で海へ潮干狩りに。お兄ちゃんはせっせと、腕や肩や手をつかって、砂場を掘り起こして、石をはこんで、なにやらお城のようなものづくりに余念がない。そんなお兄ちゃんを横目に、「ほら、貝だよ」って、お父さんとお母さんに見せる妹。ずっと続く海沿いの道、浜辺には子どもをだいたお母さんが見える。なにげないけど、子どもたちはそんな風景に「この世界いっぱい、ひろびろと、どこまでも」って感じたようだ。
 またある日は、大地の収穫祭。巣箱のミツバチがぶんぶん飛びまわる。いいハチミツがとれそうだ。皮つき、もぎたてのトウモロコシも、ほんとうにおいしくって。真っ赤なトマトが実をむすんでる。この本には、そんな作物がならんだ青空市の絵があって、とてもすてきです。「この世界いっぱい、大地に育つものたちのベッド」。みんなの気持ちだろうね。
 もちろん、大雨の日もある。大荒れの空もよう、なぐりつけるような雨、あふれる水に、みんなすべって、つまずいて、よろめいて、ころんで。でも、きっと晴れる。希望と、平和と、信頼と、愛すること。そんなメッセージがこの本には込められています。(4・25刊、27・4cm×27・9cm 四〇頁・本体一五〇〇円・ブロンズ新社)

この世界は円柱形に
みちあふれてる
▼絵とき 生きものは円柱形 ▼本川達雄 文/やまもとちかひと 絵
 チョウのはねはひらべったい。トンボのはねもひらたい。でも、生きものはひらたい部分ばかりじゃない。手のひらはひらたいけど、ゆび、脚、胴体はみんな円柱形だ。ミミズもヘビも、ウナギもドジョウも円柱形。植物を見ると、葉っぱはひらべったいけれど、葉をつけている枝は円柱形だね。枝をつけている幹も円柱形だし、木の根っこも円柱形だ。よくよく葉を見ると、すじが見えるよね。葉脈っていうんだ。それも、ひらべったいようにみえるけど、じつは円柱形なんだよ。なぜ生きものには円柱形が多いんだろうね。
 円柱形は強い形なんだ。新聞紙はひらべったいけど、丸めてみると、立つことができる。つまり、円柱形にすると、曲がらなくなる。強くなるんだ。物は光をうけて栄養をつくるから、葉っぱはひらたく、たくさんあるほうがいい。でも、それを支えなきゃいけない。だから枝や幹は円柱形なんだ。見てみて、この世界は、じつにたくさんの円柱形であふれるよ。そんな謎を解く、ふしぎ絵本。(3・15刊、26cm ×20cm 四〇頁・本体一三〇〇円・福音館書店)

りくにあがった
サメのはなし
▼おれはサメ ▼片平直樹 作/山口マオ 絵
 おれはサメ。うみのおうさま。おれがスイーとおよぐと、みんなおそれをなして、にげていく。それって、じつにきもちいい。でも、おれだってたまには、イルカみたいな、にんきものになりたい。イルカのやつ、せびれをだしてスイーとおよいでたら、はまべでみんなからキャーキャーいわれてたもの。「そうだ、おれもああいうにんきものになろう」。イルカをまねてみたんだ。「どう。おれ、かわいいでしょ」って、ぱっと顔をだしたら、ギャー! って、みんなにげちゃった。
 「なんでにげる。なっとくできん。おれのほうがだんぜんかわいいのに」
 「どうしても、イルカみたいにキャーキャーいわれたいんだ」
 なみだをながしているサメを見かねて、おつきさまがいいました。
 「ならさ、あしをつけてあげようか? うみからあがってあるきまわったら、にんきものになれるかもよ」
 さて、りくにあがったサメはどうなった? あとはよんでのおたのしみ。(8月刊、27cm×21cm 三二頁・本体一二〇〇円・フレーベル館)

つみきくんたちの
だいへんしん
▼つみきくんとつみきちゃん ▼いしかわこうじ 作・絵
 つみきくんの、いえのとなりにやってきた、つみきちゃん。「こんにちは、つみきちゃん。こうえんにあそびにいこうよ」。「わーい、いきたーい」。ふたりはぶらんこをしたり、すなばでおおきなやまをつくってあそびました。やまにトンネルをほったら……。あれれれれ! つみきちゃんがカタ、カタ、カタッと、だいへんしん。シュッ、シュッ、シュッ、ぽっぽー。なんと、きしゃになってトンネルをはしりだしたんです。
 それをみていた、わんちゃん。ふたりのあそびにはいってきます。シーソーにのったら、ドシーン! すべりだいのかいだんをのぼっていくと、「これも、おいらの、すべりだいだぞ」。もういじわるばっかり。つみきくんと、つみきちゃんはかんがえました。よし、これでどうだ。「がぉー!」。ふたりはがったいして、おおきなかいじゅうにへんしんしました。さすがのわんちゃんも、びっくりぎょうてん。ころころ、ころがっていきます。
 さてさて、わんちゃんとふたりのゆくえは……。いろんなかたちにへんしんできる、つみきえほんのせかい。(8月刊、26cm×22cm 三二頁・本体一二〇〇円・ポプラ社)







リンクサイト
サイト限定連載

図書新聞出版
  最新刊
『新宿センチメンタル・ジャーニー』
『山・自然探究――紀行・エッセイ・評論集』
『【新版】クリストとジャンヌ=クロード ライフ=ワークス=プロジェクト』
書店別 週間ベストセラーズ
■東京■東京堂書店様調べ
1位 マチズモを削り取れ
(武田砂鉄)
2位 喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
(山下賢二)
3位 古くて素敵なクラシック・レコードたち
(村上春樹)
■新潟■萬松堂様調べ
1位 老いる意味
(森村誠一)
2位 老いの福袋
(樋口恵子)
3位 もうだまされない
新型コロナの大誤解
(西村秀一)

取扱い書店企業概要プライバシーポリシー利用規約