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評者◆伊達政保
東日本大震災後の河内音頭と大盆踊り――浅草木馬亭「てなもんや浪漫バラエティー」、そして「すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り」
No.3027 ・ 2011年08月27日




 浅草木馬亭。浪曲の定席で、「てなもんや浪漫バラエティー」と題された催しが行われた。浪漫とは浪曲漫才とロマンをかけた言葉である。5月の第一回「なにがなにしてなんとやら」での浪曲ショー、浪曲に引き続き、7月16日の第二回は「さては一座の皆様方へ」として、浪漫ショウの草分けタイヘイトリオのリーダー、タイヘイ夢路の浪曲漫談、関西浪曲の春野恵子、浪曲河内音頭・初音会、江州音頭・初代桜川唯丸という夢の共演。司会はメディア・プロデューサー澤田隆治、浪曲師玉川奈々福のこれまた豪華版であった。
 81歳の夢路師匠は未だ綽々としていて、往年のタイヘイトリオの芸を彷彿とさせた。春野恵子の浪曲、その出来とは別に女の感性のドロドロ感(いえ差別というわけでは)がちと辛い。オイラにとって今回の目玉は河内音頭・初音会と江州音頭・初代唯丸師匠。初音会は現代河内音頭の本流であり、鉄砲光三郎もそこの出身である。兄弟弟子でもあった故初音家賢次の音頭を聞いたのは、今から30年以上前だったろうか。さすが本流と思わせる剛健で繊細な音頭は今も受け継がれていた。20年前ワールド・ミュージック評価の中、そのスピード感、ドライブ感で脚光を浴びた唯丸師匠。錦糸町河内音頭にも出演していただいたが、その江州音頭は健在であった。
 さてその錦糸町河内音頭も今年30回を迎える。朝倉喬司を隊長とする全関東河内音頭振興隊の企画で、29年前の1982年7月20日、渋谷のライブハウスでの河内音頭三音会オールスターズとサルサのオルケスタ・デル・ソルの共演、総合司会平岡正明、サルサ司会河村要助、ゲスト団鬼六、会場には中村とうよう氏。そして翌日錦糸町のパチンコ店「銀星」二階の銀星劇場で三音会オールスターズの公演、ここから錦糸町河内音頭は始まった。両日の実況録音盤は以前LPレコードとして発売されたが、今年カットされた部分を復元して『東京殴り込みライブ・完全盤』歌舞音曲KB‐2001としてCD復刻された。
 平岡氏を始め朝倉氏、団氏、とうようさん、そして「赤城の子守歌」で満場を沸かせた三音家浅王丸師匠も故人となられた。星野、松林、二人の振興隊員も故人となった。振興隊と共に河内音頭を主催してきた錦糸町商店街振興組合の山田元理事長、山本前理事長も故人となられ、今更ながら30回という年月の重みを感じてしまうのだ。諸般の事情により振興隊は解散したが、現在では首都圏河内音頭推進協議会が商店街振興組合と共に「すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り」を担っている。東日本大震災後の仏供養の盆踊り、30回目の今年は8月24日、25日に開催されます、何卒ご来場を。
(評論家)







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