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評者◆藤沢周
日本というシステムのグロテスクさ――それでも、致命的な災害から身を守ることは不可能ではないと信じなければ
福島原発人災記――安全神話を騙った人々
川村湊
No.3021 ・ 2011年07月09日




 何処の国に小中学校の暫定的利用基準値などというものが存在するのか。しかも年間の放射線量が20ミリシーベルトまでという、途方もない数値を出した文科省に唖然とするばかりだ。
 東日本大震災以後の福島原発事故に関わるずさんな対応に呆れ返っているのも束の間、今度は原口一博前総務相が東電未発表モニタリングポスト数値の桁が三桁違うと公表して、物議を醸した(六月二日・自由報道協会主催記者会見)。何の数字が三桁違うのかを具体的にいわぬ原口もさることながら、東電が平成一五年にECCS(非常用炉心冷却装置)の冷却系蒸発システムを外していたことも分かり、もはや開いた口が塞がらない。だが、その呆然と見開いた我々の感覚に、たえず虚偽の言葉を浴びせかけ麻痺させるやり方は、日本という近代政策が最も得意としてきたやり方だ。
 文芸評論家の川村湊氏が三月一一日から二五日まで、原発にまつわる日記を猛然と綴り始めた衝動は、まずそれへの攻撃にある。まったく国民の命など眼中になく、政治家や官僚、巨大産業などの自己保身のためのシステムが、この日本であると。戦争もバブル経済も貧困も、そして今回の原発事故も、すべて黒くグロテスクな心性の根でつながれていることが、この「人災記」から焙り出されるのだ。国家が原子力政策における...







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