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評者◆鴻農映二
猥褻作家、馬光洙が社会に猛反撃――エッセー集『汚く愛そう』で意気揚々
No.3021 ・ 2011年07月09日




 日本語でも訳が出ている『楽しいサラ』の作家馬光洙が『汚く愛そう』というエッセー集を出した。発行は、本の床社。
 馬光洙といえば、大学教授の身で、ポルノ小説も書く作家として有名だ。当初は詩人としてデビューし、『象徴詩学』などの文学理論書を出していた。それが30代後半から『オレはいやらしい女が好みだ』(エッセー集)や『行こう、薔薇旅館へ』(詩集)など、性を強調した作品を出し始め、41歳のときには、ついに小説『楽しいサラ』で猥褻罪で逮捕された。懲役8カ月、執行猶予2年の判決。最高裁まで争ったが、棄却された。
 本人がショックだったのは、延世大学もクビになり、文学者や文化人も、かれを弁護してくれなかったことだ。2000年には、復職を図ったが同僚の教授たちから締め出された。更に、2007年には、『楽しいサラ』をインターネットのホームページに載せたかどで罰金200万ウォンの刑をくらった。
 ここまで痛めつけられると、根性が座るようだ。今回のエッセー集では、「もし、自分が結婚(といっても契約同棲)するとしても、妻に婚外情事を勧めるだろう」とか、「人生の幸せは、ただ性的満足によって決定される。具体的な幸福感は、肉体的快楽からのみ訪れる」また、「出世したいなら、性欲を満足させよ。そうすれば全身に活力が湧き、万事に積極的になれる。変態性欲を楽しめれば、焦りがなくなり、ひときわ新鮮な快楽が体験できる」と、述べる。「ロミオとジュリエットは、13歳で愛し合った。未成年者にも性の自由を与えねばならない」「いやらしさは、子供のように正直なものである。肉体的快楽だけが善だ」
 このように、あらゆる角度から性を讃美する。低レベルを「超えた」感が確かにある。本も売れている。
(韓国文学)







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