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評者◆渋谷望
「抵抗」して生き残れ――特別寄稿 渋谷望氏 原発災害とR・ソルニット『災害ユートピア』
災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか
レベッカ・ソルニット著、高月園子訳
No.3020 ・ 2011年07月02日




 授業でレベッカ・ソルニットの『災害ユートピア』(亜紀書房)を読んでいる。今回の震災を受け、急きょこのテキストを決めた。大災害のとき人々はパニックに陥るとされているが、事実は違う。多くの人々はむしろ冷静であり、互いに助け合い、災害を生き延びてきた――サンフランシスコ地震(1906年)のスープキッチン、メキシコシティの大地震(1985年)の縫製労働者たちの連帯、ハリケーン・カトリーナに襲われたニューオーリンズ(2005年)の相互扶助組織……。彼女はアナキスト的想像力によって、災害時に立ち上がるこの相互扶助の空間を、「一時的自律ゾーン(TAZ)」、「予示的政治politics of prefiguration」(「具体的目標数値の政治」は誤訳)、「ザパティスタ解放軍」の実践が同質であることを示唆する。と同時に、これを破壊する支配者の側の力(サンフランシスコ地震の「ファンストン准将の世界観」)とのせめぎ合いを記述する。
 今回の震災の被災地に行った大学院生によれば、自動販売機を壊して飲み物を取り出し、避難所で配った若者がいたという。真偽のほどはわからないが、仮にこういうことがあったとすれば、許されるかどうか、ソルニットになり代わって学生に議論をふっかけた。ソルニットは、生きるか死ぬかの非常時には、人々は私有財...







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