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評者◆ベイベー関根
食はドラッグ/食はゲームさ。――泉昌之『食の軍師』(本体五九〇円、日本文芸社)、原作・久住昌之/漫画・水沢悦子『花のズボラ飯』(本体九〇〇円、秋田書店)
No.3013 ・ 2011年05月07日




うーん、ひさうちみちおの新刊が出たが(特に名を伏す)、これはあんまりオススメできないなー。高いし。ちゃんと字の読める編集者を使えっちゅうか、これを買うくらいだったら、この本の解説を書いてる呉塵 がやってる『キッチュ』っていう雑誌の第2号を読んだ方が絶対にいいから。いやホント。
 さて、飲み物とか食い物とかでいろいろみんなピリピリしてるみたいだけど、そういうときこそとりあげるぜ、地震の前に出た久住昌之原作の2冊をなあ!
 というわけで、どっちから行こうかな、んじゃまず、泉昌之『食の軍師』から。なんてったって掲載誌が『食漫』だよ、スゲーよな。まさに泉昌之と大西祥平のためにあるマンガ雑誌といっても過言なくらいだ!
 デビュー以来30年、途中でいっしょにやってなかった時期もあるにせよ、原作の久住昌之と作画の和泉晴紀のコンビ、よくここまで続けてきたよなー。「え、ボクが生まれる前からこんなクダラないことやってたの!?」とかいいそうな若人も多そうだが、ズバリそのとおり! 『食の軍師』でも、久住お得意の本郷さんモノ(いつもトレンチコートにソフト帽姿でシブくキメてるつもりの本郷というおっさんが、料理をどう食い進めるかで「桃園の誓いの陣」とか「海底軟体十八本足陣」とかゆってひとり勝手に盛り上がるマンガ)に三国志ネタと力石という新キャラを加えてエンタメ度も格段にアップ! さらに最終話ではデビュー作「夜行」のセルフパロディまで織り込んでしまうとは……いやまいったぜ。個人的には谷口ジローと組んだものより、泉昌之のバカバカしい方がスキ。
 そして、あちこちで売り切れ騒ぎを引き起こした話題作、『花のズボラ飯』。こちらも原作は同じ久住昌之、作画は水沢悦子(どうもあの人らしいのだが、ここでは詮索しない)で、少女マンガっぽい、かわいらし~んタッチ。掲載誌が秋田書店の『エレガンスイブ』というレディコミというところがまた泣かせる。
 で中身だけど、いやこれはヤバいでしょ! こ~れ~は~ヤバい! 大事なことだから二回いいました!これ、旦那が単身赴任してる間、本屋でバイトしてる基本的にヒマな主婦・駒沢花が、テキトーかつズボラにごはんを作って、それがまた超うまいっていうだけの話なんだけど、肝心なのは絵がカワイイとかズボラレシピが役に立つとかいうところではなくて、ウマいものはドラッグだと示してるとこだよね! このマンガを読んでる人たちは可愛らしい花ちゃんにセルフイメージを重ねてるんだろうけど、こういうものばっかりバクバク食って、あとはゴロゴロしてる人たちが実際にはどんなだか、みんなもよく知ってるはずだ!そして、キッチンという××窟から逃れることはなかなかに難しいのだ! ちなみに個人的には、ぽっちゃり大賛成!
 最後にひとこと、ファッキュー東京都民!
(セックスシンボル)







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