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評者◆秋竜山
岡本太郎は爆発だ!!、の巻
No.3010 ・ 2011年04月16日




 もし、あの「太陽の塔」を、岡本太郎でなく、別の人が制作したら、どうなったのか。なんて、考えた時。作られた当時、かなりの話題になり、「面白い」というものや、「くだらん」というものもいて、岡本太郎だからこそ、あれでいいんだ!! という評価もあったのではないだろうか。「太陽の塔」で、岡本太郎は一般人に有名人としての扱いを受けるようになったのだと思う。それまで、岡本太郎という有名な芸術家は存在していたが、日本中に知れわたる芸術家ということになったのは、大阪万博の「太陽の塔」からであり、それがあってこそ、「芸術は爆発だ」とテレビで変なオジサンを演じたあのポーズへ進化していったのだと思う。それにしても、やっぱり岡本太郎は、変テコな芸術家である。生誕100年ということで、またしても岡本太郎の名が爆発した。芸術は爆発だ!! と、叫ぶけれど、本当は岡本太郎は爆発だ!! と、いうことが正しいのかもしれない。わすれかかったときに、突然に爆発をくりかえすのだろう。そのつど、「太陽の塔」がよみがえる。たとえば五十年に岡本太郎が爆発したとして、「太陽の塔」をその時代にどのようにとらえられるか知ってみたいものだ。岡本敏子『岡本太郎の友情』(青春出版社、本体一五〇〇円)では、
 〈岡本太郎は唯我独尊の暴れん坊で、その作品のようにとんがった角を四方八方に突き出し、付きあいにくいやつだと思われていたようだ。多くの人が「生前はこわい人だと思っていた」と言う。なぜだろう。傍に寄ってみればとてもデリケートな、熱い心を持った、優しい人なのに。身近に見た、この純粋な芸術家の人まじわりの様子を、出来るだけそのままに書いてみたいと思う。相手もみんなひとかどの素晴らしい人々だ。〉(はじめに――岡本敏子)
 と、いうように、本書ではミリョクある人々の登場となる(石原慎太郎、石原裕次郎、丹下健三、瀬戸内寂聴、川端康成とか)。もっと、さまざまな誰もが知っている有名人がズラリと並んでいる。パブロ・ピカソとの出会いの様子の文章も面白い。そして、母親である岡本かの子も登場する。岡本太郎と岡本かの子との熱すぎるくらいの情愛は、沢山の文章で残されている。が、父親である岡本一平については、父親としての岡本一平を語っているのを見かけないように思うのだが、私の気のせいか? 私は、漫画家として、やっぱり、岡本一平について岡本太郎が何を思っているか知ってみたいのである。あるパーティーで、岡本太郎を遠くから眺めたことがあり、酒場で飲んでいる姿にも接したことがあったが、その時、私はトッサに岡本一平の名前であった。
 〈「母の手紙」や「一平・かの子」(ともにチクマ秀版社)を見ると、この家族の激しくて純粋で、しかも濃やかな愛のあり方が感動的に綴られている。〉(本書より)
 岡本太郎といえば「何だこりゃ」という芸術家であり続けたことであろう。それは、岡本太郎という存在そのものが、「何だこりゃァ」ということになるだろう。







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