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評者◆秋竜山
挫折しなさい、苦労しなさい、の巻
No.3008 ・ 2011年04月02日




 〈今の日本は……〉と、いう言葉が一番似合うのが、今の日本であるだろう。今の日本を、世界中の人々が見守っている。「いったい、日本はどうなるのか?」と、いう眼で見ているだろう。負けてたまるか、日本!! である。そんな折、読んだ本が、冨山和彦『挫折力――一流になれる50の思考・行動術』(PHPビジネス新書、本体八二〇円)であった。挫折力という言葉に響きがある。
 〈今の日本が閉塞し、停滞してしまっているということは、誰もが多かれ少なかれ感じていることだろう。このような日本の社会や会社を変えていくのは、これまでの優等生型リーダーではない。もちろん、そこに智略が備わっていることも必要だが、むしろ根性が据わり、打たれ強く、腹をくくることのできる人間だ。そんな人間になるには、どうすればいいのか。失敗を恐れず挫折を経験してみればいい。その経験が「挫折力」となり、壁をぶち破る力となる。「挫折する」ということは裏を返せば「挑戦する」ということである。〉(本書より)
 この文庫に、今回の大震災という文字を加えると、さらに「今の日本は……」ということが明確になるだろう。まず、驚いたことが一つ。それは、この大地震があった時(あまりにグラグラがひどかったのだろうか)、「こーしちゃァ、いられない」と、長年寝たきりであった老人(立ち上がることもできない)が、フトンから立ち上がったというのである(自力で)。このパワーはいったいどこからくるのだろうか。と、いうことで、この話は決着をつけたのであった。まず、寝ている場合ではないと思ったのだろう。では、今まで寝たきりはいったいなんだったということになる。寝たきりも病気の一つというならば、まさに病気は気からということになる。もっとも、またすぐ寝たきりになってしまったという。人間は気力によってビックリさせられる行動にうつるものであることがわかった。もしこれが老人ではなく、挫折して寝たきりになってしまった若者であったとしたら……なんて、考えてしまう。フトンからガバッと立ち上がったのをきっかけに挫折をのりきることができた、なんてことに。
 〈挫折すること、なかでも若いうちにできる挫折体験を繰り返しておくことによるメリットを、いくつかあげてみよう。――●打たれ強くなる(若いうちは心身ともに復元力が旺盛なので、打たれた部分がむしろ強くたくましくなる)●過去をリセットできる(挫折して振り出しに戻ってみると、意外に過去の事柄にはどうでもいい話が多いことに気がつく)●敗因を分析することで、次の戦いに活かすことができる。●何よりも挫折をしてみると自分という人間がよくわかる。〉(本書より)
 本書は〈数々の企業を再生させたプロフェッショナルによる、不安定な時代を愉快に生き抜くための希望の書。〉(表紙カバー・コピー)ということである。挫折などというものはしたくないものだと、のんきな私の考えだ。そーいえば、若い時、年寄りにいわれたことは、人間苦労して一人前になるのだから、お前も苦労しなくは駄目だ。苦労がキライなような人間は一人前にはなれないぞ!! とのこと。よくよく考えてみると私は苦労したことが一度もない。







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