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評者◆酒井隆史
世界史的大転換への応答――「社会構造の外」の民衆によって行使される暴力や「残虐」を深く肯定する
暴力――6つの斜めからの省察
スラヴォイ・ジジェク著、中山徹訳
No.3005 ・ 2011年03月12日




 本書には「6つの斜めからの省察」という副題がふされている。なぜ「斜めから」なのか? ジジェクによれば「暴力に直接に向きあうことは、本質的に暴力を神秘化する」からであるという。この方法は成功しているだろうか? 対象を遠巻きに過剰に饒舌で、それがもどかしく、またしばしば論理の脈絡が途切れているようにもみえてしまう。もちろん、ジジェクの考察がつねに暴力の問いを潜在させているということもいえるわけだが、この方法論的な制約が、ジジェクのいつものやり方、みずからのテキストの断片をその都度のテーマに沿ってつなぎあわせることを可能にしていることはたしかだ。したがって、暴力論固有の議論が本書のすべてを占めているわけではない。固有の議論を一つあげるなら、おそらく第一省察から導かれる一筋の線である。ジジェクは行使主体をもってあらわれる主観的暴力とそうした主体を特定しがたいシステムの次元に位置する客観的暴力を区別することを最初に提案する。この区分をふまえることで、現代の支配的イデオロギーが明快に位置づけられる。すなわち、主観的暴力に欺瞞的に対応しながら、客観的暴力を促進するというかたちで、この連関に幻想の支えを与えているのが「市場の見えざる手のポストモダン的焼き直し」であるイデオロギーによって、市...







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