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評者◆重松清
〈豊穣な世界〉をどう守るか――希薄になった人間関係の中で必死に自分の居場所を確保しようとする子どもたち
人間失格?――『罪』を犯した少年と社会をつなぐ
土井隆義
日本図書センター
No.3004 ・ 2011年03月05日




 土井隆義さんの著作を初めて拝読したのは、ゼロ年代の半ば頃だった。
 出会いの一冊は、『「個性」を煽られる子どもたち』(岩波ブックレット)である。初読のときには頁をめくりながら何度も何度も膝を打ち、大きくうなずきつづけた。状況の分析や立論に「なるほど!」と納得するのはもちろんのこと、それ以上に、いまどきの子どもたちに対する土井さんの姿勢に強く惹かれた。
 少年犯罪をめぐる報道やゆとり教育論議が過熱していた時期である。子どもたちはその当事者でありながら、発言の機会も与えられず、また求められもせず、「昔はよかった」的な言説の中で常にワリを食ってきた。だからこそ、そんな彼らが背負わされたキツさをまずは認めよう――という土井さんのスタンスは、じつに新鮮だった。なにより子どもたちが「自分たちのことをこんなふうに見てくれているオトナもいるんだ」と救われたはずである。その後も『友だち地獄』(ちくま新書)や『キャラ化する/される子どもたち』(岩波ブックレット)など氏の著作に触れるたびに、そのまなざしのフェアな優しさに深く共感してきたのだった。
 土井さんは社会学者として子どもたちを見つめ、彼らを取り巻く状況を分析し、論じていく。ただ、どの著作でも、子どもたちは決して「研究の対象」にとどまっては...







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